2006.03.14

【日本胃癌学会速報】ピロリ菌除菌による胃癌予防、10年間の介入研究の結果が報告

 3月10日、第78回日本胃癌学会総会で、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)除菌による胃癌予防効果について、10年間に及ぶ大規模介入研究の詳細な結果が、国立がんセンター中央病院内視鏡部の斉藤大三氏から初めて報告された。

 ピロリ菌の除菌効果については、既に中国から、除菌が胃癌発生を有意に予防したとの報告、またコロンビアからは、除菌により萎縮性胃炎や腸上皮化生が有意に改善したとの報告が出されている。

 斉藤氏らの介入研究は、1994年4月から厚生省(当時)の補助金を得て、「ピロリ菌除菌による胃粘膜萎縮の発生および進展の予防に関する研究」として行われてきたもの。119施設が参加した。

 当初、3500〜5000人の参加登録を目標としていたが、無作為割り付けという研究の性格のためか、思うように参加者が集まらず、2つのエンドポイントのうち、胃癌の発生率と除菌との関係については、研究を断念せざるを得なかった。

 20〜59歳のピロリ菌陽性者を、除菌群と非除菌群に無作為に割り付け、3剤併用療法による除菌を行った結果、萎縮性胃炎、腸上皮化生といった胃の前癌状態が変化するかどうかを調べる研究が行われた。胃壁の変化は、内視鏡による観察と生検によって比較した。

 参加登録者751人のうち、4年以上経過観察できた415人を対象に解析を行った。内視鏡による観察では、除菌群と非除菌群の間に有意差は見られなかった。

生検では、改善・無変化・悪化の3段階で評価したところ、萎縮性胃炎については、非除菌群に比べ、除菌群で有意に改善した(p<0.001)。男女別に分けても(p<0.0001)、40歳未満と40歳以上で分けても(p<0.05)、除菌群では非除菌群に比べ、有意な改善が見られた。腸上皮化生についても、同様に除菌群で有意に改善していた(p<0.05)。

 斉藤氏は、解析対象者が少ないことによるバイアスがあるかもしれないとした上で、「これまで、腸上皮化生に進行すると、胃壁の状態は改善しないとする報告もあった。塩分の摂取状態など、他の要因が大きくかかわっているのかもしれないが、除菌が胃癌の発生予防にプラスに働くことが示せたと言えるのではないか」と評価していた。(小又理恵子)

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