2006.03.13

【まさかの時の医事紛争予防学】忙し過ぎる小児科医、64%が時間外診療でトラブル経験

 医療事故の発生原因を分析していくと、医師をはじめとする医療関係者の労働環境がどのようなものだったか、が改めて課題として浮上する。ネット上に公開されている貴重なデータから、就労状況とトラブルの関係を捉えた発表を紹介したい。

 2004年に長崎市で開催された公開シンポジウム「小児救急医療を考える」の発表資料がホームページで公開されている。その中に、長崎大学医学部小児科の宮副初司氏の発表「小児科医の就労状況」があった。

 長崎大学医学部の小児科関連施設、小児科外来、あるいは小児科病床を持つ計20医療機関に常勤する小児科医師を対象にアンケート調査を行ったものだ。65人のうち58人が回答を寄せた。

 この調査は、小児科医師が置かれている就労状況が極めて厳しいことを浮き彫りにした。 

 結果をみると、あまりにも忙しすぎる状況にあることが分かる。たとえば、回答した医師の40%は「完全休日がない」と回答し、時間外労働は「平均で週21時間」に及んでいた。

 注目したのは、時間外診療でのトラブル経験、あるいはトラブルになりそうだった経験があるかどうか尋ねた質問。実に、「ある」と回答した医師は、回答した58人の64%に上った。

 「ある」との回答に寄せられた実例は、以下のようなものだったという。

・待ち時間が長くなり、待合室で看護スタッフと患者さんの家族が口論となった。
・患者が多く来院。2、3時間以上待たせることになった。怒鳴り込まれてしまった。
・「もっと早く来るべきだったのに」「こんな軽い症状でくるなんて」など不用意な一言を言ってしまった。
・イライラして患者さんの家族を怒らせてしまった。
・疲れがたまると言葉遣いや態度に出てしまう。

 忙しすぎることが、トラブルの遠因となっているのは言うまでもない。医療事故を防ぐ対策を考える上で、就労環境の改善は欠かせないものに違いない。(まとめ;三和護、医療局編集委員)

*ネット講座「まさかの時の医事紛争予防学」については、こちらをご参照ください。

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