2006.03.10

脂肪の量を抑えた日本食と少量のスタチン投与で高いコレステロール低減効果

 千葉大学医学研究院循環病態医科学助手の中川敬一氏(写真)らの研究グループは脂肪の量を低く抑えた食事療法と少量のスタチン投与を組み合わせることで、スタチン単独よりも患者のLDLコレステロールなどを効果的に低減させうることを見出した。また1日に30分以上週4回以上運動を行った患者ではHDLコレステロールの減少が抑えられることを確認した。成果は3月11日から米国アトランタで開催される米国心臓学会(ACC)で発表される。

 中川氏は、日本人において、総摂取エネルギー量はここ数年増えていない一方で、脂質の摂取量の増加とともに心血管イベントの発生が増加していることに着目し、食事のエネルギーに占める脂質の割合を抑制することを行った。患者の体重にあわせて約1800kcalと約1400kcalの2種類の10日分の日本食をベースにしたレシピを作成し、患者に渡して食事指導した。それぞれのレシピは脂質が総摂取エネルギー当たり10%、たんぱく質が20%、炭水化物が70%となるように野菜、豆類、魚、少量の肉類で構成されていた。飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の比率は1対2になるように設定した。脂質が10%というのは1960年頃の日本人の食生活に相当するという。現在は日本人は脂質の割合が26%を超えている。

 PET検診を受診しにきた患者52人を対象に食事指導を行った。患者の平均年齢は60.9±9.1歳、男性が35人で女性が17人だった。そしてプラバスタチン5mg、シンバスタチン5mg、アトロバスタチン10mgのいずれかを1日1回投与した。

 その結果1カ月後でトータルコレステロールが213±39mg/dLから160±31mg/dLに、LDLコレステロールが139±90mg/dLから90±25mg/dLに、HDLコレステロールが61±16mg/dLから57±16mg/dLに、中性脂肪が123±63mg/dLから97±42mg/dLに減少した。LDLコレステロールの減少率は薬剤によって23%から41%で、より多い量を投与したそれぞれのスタチンの大規模試験の結果よりも良い減少率が得られた。また、運動療法を週4日以上行った患者ではHDLコレステロールが1%増加していた。さらにPET検査で動脈硬化が確認された患者12人について1年後にPET検査を行ったところ9人で改善効果が確認された。(横山勇生)

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