2006.03.10

SSRIに胎内暴露した新生児の30%が新生児禁断症候群を示す

 妊娠している女性が抗うつ剤の選択的セロトニン再吸収阻害剤(SSRI)を服用している場合、産児に新生児禁断(離脱)症候群(NAS)が見られるという報告が増えている。イスラエルSchneider小児医療センターのRachel Levinson-Castiel氏らは、SSRI胎内暴露によるNASの発症頻度および臨床的な特徴を調べるコホート研究を行い、暴露群の実に30%がNASを発症することを示した。症状のピークは出生後48時間以内に見られることがわかった。したがって、母親がSSRI治療を受けている場合には、生後少なくとも48時間は、新生児を慎重に監視しなければならないという。詳細は、Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine誌2006年2月号に報告された。

 SSRIは胎盤を通過する。SSRIに胎内暴露した新生児は呼吸窮迫の発生頻度が高く、広範な神経行動学的異常が見られ、適応力が低い傾向にあると報告されている。

 著者らは、イスラエルの第三次医療機関において、新生児禁断症候群(NAS) に焦点を当て、SSRI暴露児と非暴露児を比較した。対象は120人の満期産児。60人は胎内でSSRIに暴露していた。母親は、全妊娠期間、または少なくとも出産前3カ月間、SSRIを使用していた。使用薬剤は、パロキセチン37人、フルオキセチン12人、シタロプラム8人、ベンラファキシン2人、セルトラリン1人だった。

 SSRI非使用の健康な妊婦から生まれた新生児から、性別、在胎週数、出生体重、出産方法などがマッチする60人を選び、対照群とした。

 NASの評価基準であるFinneganスコアを適用、出生から2時間後最初の検査を行い、それ以降8時間ごとにスコア(8以上なら重症、4〜7は軽症、0〜3は正常)を算定した。全新生児について、Finneganスコアを用いた評価と心肺機能の監視を含む標準化されたプロトコルに基づく追跡を48時間、または48時間を超えてスコアが正常域に入るまで実施した。

 NASは、対照群は0人、暴露群には18人(30%)いた。うち8人が重症のNASだった。SSRI暴露群に多く見られた症状は、震顫(37人)、胃腸障害(34人)、睡眠障害(21人)、甲高い鳴き声(18人)、筋緊張亢進またはミオクローヌス(14人)など。重症NAS患者のFinneganスコアは生後2日以内に最高値を示した。今回は、何らかの治療が必要となった新生児はいなかった。

 パロキセチン暴露児のみを対象に、用量とNAS発症の関係を調べたところ、より高用量のパロキセチンの使用とNASの間に有意な関係が見出された(p=0.01)。対象人数は少ないものの、用量が20mg未満だった新生児には、症状は見られなかった。

 著者たちは、今回の結果を基に、SSRIが必要な場合には最低限の用量を投与し、出生後は、心肺機能およびFinneganスコアの評価を含む、標準化された方法での監視を最低48時間継続、それでも症状が持続している場合にはそれらが消失するまで監視するべきだと述べている。NASが見られた子供たちの長期的な予後は不明で、今後の研究が待たれる。

 本論文の原題は「Neonatal Abstinence Syndrome After In Utero Exposure to Selective Serotonin Reuptake Inhibitors in Term Infants」。概要はこちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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