2006.03.03

根絶完了の21カ国でポリオ発生、すべて流行6カ国からの持ち込み

 2002年から2005年にかけて、ポリオ根絶が完了していた21カ国で、国外からポリオが持ち込まれ、感染者が発生した。合計患者数は1298人に及ぶ。いずれも野生型ポリオウイルス(WPV)1型で、ナイジェリアをはじめ、ポリオが風土病として存在していた6カ国から持ち込まれたことがわかった。世界保健機関(WHO)の研究で、米国疾病対策センター(CDC)が毎週発行する死亡率や罹患率に関する報告書Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2006年2月17日号に掲載された。

 同報告によると、21カ国のうち13カ国では複数の感染者が発生し、沈静化までに6カ月超を要した。なかでもイエメンは478人と最も多く、インドネシア、ソマリア、スーダンの3カ国と合わせ、100人を超えるポリオ感染者が発生した。これら13カ国と、6カ月以内にポリオの伝染が終結した8カ国について、生後12カ月までのポリオ予防接種3回の実施率を比較したところ、13カ国の中央値は52%だったのに対し、それ以外8カ国の同値は83%と、有意な差がみられた(p=0.001)。

 その後2005年末までに、ソマリア以外の20カ国では、ポリオ感染者の発生は終結または大幅に減少した。ソマリアでは、報告書作成時点で154人の感染者が確認されており、最近でも2005年11月30日に新たな患者が発症している。

 研究グループでは、ポリオの世界的な根絶が達成されない限り、外国からポリオが持ち込まれるケースは、今後も続くと予想している。

 1988年の世界保健機関(WHO)総会で全世界からのポリオ根絶の決議を行って以降、風土病としてポリオが存在する国の数は、当時の125カ国から2003年には6カ国に、現時点では、ナイジェリア、インド、パキスタン、アフガニスタンの4カ国にまで減っている。

 本論文の原題は「Resurgence of Wild Poliovirus Type 1 Transmission and Consequences of Importation --- 21 Countries, 2002--2005」MMWR誌Webサイトのこちらで全文を閲覧できる。(當麻 あづさ、医療ジャーナリスト)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 向精神薬になったデパス、処方はどうする? トレンド◎ベンゾジアゼピン系薬の安易な処方に警鐘 FBシェア数:1279
  2. 男性医師は何歳で結婚すべきか、ゆるく考えた 独身外科医のこじらせ恋愛論 FBシェア数:178
  3. JTに異例の反論を出した国がんが抱く危機感 Cadetto通信 FBシェア数:121
  4. 開業4年目の私が医院経営の勉強会を作ったわけ 診療所マネジメント実践記 FBシェア数:45
  5. インフルエンザの早い流行で浮かぶ5つの懸念 リポート◎AH3先行、低年齢でAH1pdmも、外来での重症化… FBシェア数:232
  6. 国主導で『抗菌薬適正使用の手引き』作成へ 政府の薬剤耐性対策アクションプランが始動 FBシェア数:19
  7. 真面目ちゃんが燃え尽きるとき 研修医のための人生ライフ向上塾! FBシェア数:0
  8. 味方ゼロ? 誰にも言えない病院経営の修羅場 裴 英洙の「今のままでいいんですか?」 FBシェア数:193
  9. 医師にも多い? 過敏性腸症候群(IBS)型便秘 田中由佳里の「ハラワタの診かた」 FBシェア数:344
  10. 輸液の入門書 医学書ソムリエ FBシェア数:0