2006.02.27

日本人が抱く精神疾患のイメージ 「家族の一員になってもいい」は、うつ病で16%、統合失調症で9%に過ぎず

 日本の一般市民は、精神疾患あるいは精神疾患の患者に対して、どのようなイメージを抱いているのか−−。住民に対する面接調査によると、統合失調症やうつ病を正しく認識できたのは30%弱と決して高くはなく、また、うつ病に対しては30%が、統合失調症に対しては54%が「社会の中で差別される」と考えていることも分かった。一方で「彼らが結婚して家族の一員になってもいい」と考える人は、うつ病の場合16%、統合失調症の場合9%に留まり、偏見や差別が深刻である実態も明らかになった。長崎国際大学の中根允文氏(写真)が2月23日、日本社会精神医学会の教育講演で発表した。

 中根氏らは2003年から、日豪共同の「精神疾患の知識と理解に関する研究」に取り組んでいる。両国で共通の調査票を作成し、それをもとに精神疾患あるいは精神疾患の患者に対する一般住民のイメージを把握。その中から、偏見や差別の原因を調べ上げ、改善策に結びつけるのが研究の目的だ。

 日本における面接調査は、東北・北関東、首都圏、東海、近畿、北九州・長崎の5地域で、それぞれ400人の合計2000人の住民を対象とした。調査員が対象者宅を訪問し、日豪比較研究で作成した調査票にもとづき面接調査を行った(平均面接時間は約20分)。

 調査では、うつ病あるいは統合失調症の事例を提示し、考えられる病名、最適な支援策、薬物・治療法の有用性、最適な専門家の援助を受けたときの転帰、あるいは受けなかったときの転帰、治療後の社会生活についての予測、考えられる原因、症例に対する対応−−などを質問し回答を得た。このほか年齢や性別、婚姻状況、学歴などの属性、被験者の心身の健康状態、精神疾患に関するメディアとのかかわり、なども尋ねている。

 調査の結果、病気を正しく認識していた割合は、うつ病で28.8%(n=1000)、統合失調症で25.3%(n=1000)だった。豪では、うつ病が71.3%、統合失調症が38.6%であり、日本では病気の認識度が決して高くなかった。 

 提示事例が社会の中で差別されるかどうかを尋ねた質問では、日本人の一般市民はうつ病に対して30%が、統合失調症に対して54%が、「差別される」と考えていた。関連で、「彼らは何をしでかすか分からない」との回答は、うつ病で36%、統合失調症で63%に上った。約40%が「彼らの問題は医学的な病気ではない」と見なし、「個人的な弱さの表れ」あるいは「性格の弱点」などとの考えを指示する人も半数以上におよんだ。一方で、「彼らが結婚して家族の一員になってもいい」と考える人は、うつ病の場合16%、統合失調症の場合9%に留まっていた。

 これらの結果について中根氏は、「日本国内における精神疾患あるいは精神疾患に罹患している人に対する態度は偏見に彩られ、差別的であることが実証された」と結論した。中根氏らは精神科医をはじめとする医療の専門家を対象とした調査も実施しており、比較検討も進行中だ。今後、これらの総合的なデータ解析から、精神保健に関する知識や理解を高め、偏見や差別を改善していく方策が見い出されていくことを期待したい。(三和護、医療局編集委員)

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