2006.02.27

シュガーレスガムで術後の腸回復が早まる、消化管手術の入院期間が3分の2に

 腹部の手術後、機能的イレウス(腸管麻痺)が起きる頻度は高い。米Santa Barbara Cottage病院のRob Schuster氏らは、S字結腸切除後の機能的イレウス防止にガムが有効かどうかを確かめる前向きの無作為割付試験を行った。その結果、1日3回、1時間ずつシュガーレスガムをかむと、腸の蠕動再開が促進され、退院が2.5日早まることが明らかになった。ガムをかむことで本来は食物摂取によって刺激される脳-迷走神経反射を刺激し、腸の運動に関わるホルモンの産生を上昇させるためと考えられている。詳細は、Archives of Surgery誌2006年2月号に報告された。

 機能的イレウスは、腹痛、腹部膨満、嘔吐などを引きおこす。深刻な場合には、腸管内容の吸引による減圧、輸液、鎮痛剤投与などが行われる。腸の機能の回復までにかかる時間が長引くと、入院期間が延び、院内感染や合併症のリスクが上昇、医療費も増す。著者らの試算では、術後イレウスによる米国の医療費増額分は、年間7億5000万ドルに達するという。

 機能的イレウスを予防するため、さまざまな方法が試されてきた。たとえば、術後早くから食事を取らせると、腸の運動は刺激される。が、患者の多くはこれに耐えられない。ある研究では、手術から4時間後に水を飲ませる方法が検証されたが、20%の患者がこれに耐えられなかった。代替法がsham feedingで、ガムもそのひとつだ。先に、腹腔鏡による結腸切除術後、ガムを噛むと腸の機能の回復と退院が早まるとの報告があった。

 著者らは今回、地域の研修病院でS字結腸開腹切除術(緊急手術を除く)を受ける患者34人を登録、17人をガム群(平均年令63歳)、17人を対照群(同60歳)に割り付けた。患者の人口統計学的特性、術中および術後のケアは、両群で同等だった。ガム群は退院までシュガーレスガムを1日3回、各1時間ずつかんだ。全員がこれに耐えられた。

 初回放屁は、ガム群が手術から65.4時間後だったのに対し、対照群は80.2時間後(p=0.05)。腸の蠕動運動再開は、ガム群63.2時間後、対照群は89.4時間後(p=0.04)。患者が初めて空腹を感じたのは、ガム群63.5時間後、対照群は72.8時間後(p=0.27)。入院期間は、ガム群で4.3日、対照群で6.8日(p=0.01)だった。大きな合併症は、いずれのグループにも見られなかった。

 選択的なS字結腸切除術後の入院日数は、一般に4〜12日と報告されている。今回、ガムをかむことによって腸の運動が促進され、術後の回復が早まることが明らかになり、ガムは安価で有用な補助的ケアであることが示された。

 本論文の原題は「Gum Chewing Reduces Ileus After Elective Open Sigmoid Colectomy」。アブストラクトはこちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)


■ 関連トピックス ■
2005.11.11 米国消化器病学会速報】ガムを噛むと手術後の腸の回復が早くなる

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