2006.02.22

【開業基礎講座2005/2006】収支計画の作り方

 MedWaveは、特に診療所の開業をご検討の方、あるいはすでに開業された方を念頭に、「診療所開業ガイド」を開設しています。日経ヘルスケア21とMedWaveのジョイント・サイトです。2005年9月から、新たに「基礎講座2005/2006」を開講しました。今回は「収支計画の作り方」です。

開業基礎講座2005/2006】収支計画の作り方

医院開業コンサルタント 匠
原田裕士 氏
http://www.takuminet.co.jp/

今回は次の項目について解説します。

1】収支計画の意味合いと重要性
2】売上(収入)予測はどのように行うか
3】売上原価及び必要経費(支出)をどう見積もるか

1】収支計画の意味合いと重要性
 収支計画とは一般的に損益計画(年度別)と資金繰り計画(年度別及び月別)に大別されます。少なくとも開業後5年間の予想が必要です。
 収支計画は、開業の採算性を検証する上でとても需要であり、金融機関への融資申請には欠かせないものです。
 損益計画は、売上−売上原価=売上総利益、売上総利益−経常費=営業利益、営業利益−営業外損益=経常利益、経常利益−税金等=税引後利益という会計原則にのっとった年度別のシミュレーションです。一言で言えば、この開業は採算上、成り立つものかどうかを表す計画といっていいでしょう。平たく言えば診療所の“儲け具合”を表すものです。

 資金繰り計画は月々いくらお金が入っていくらお金が出て行くかということを予測するシミュレーションです。いわゆる“キャッシュフロー”計画のことです。どちらかというと先生方には損益計画より現実的でわかりやすいかもしれません。開業当初は入りが少なく(窓口入金のみ)出が多いことから、月々の収支が大幅に赤字になります。その累積赤字のピークがどのくらいになるかを予測し、それをカバーできるだけの運転資金を用意するようにしてください。
 損益計画と資金繰り計画は見る角度が違うだけで、基本となるデータベースは同じであり両方を作成することにより開業が成り立つかどうかをより確実に検証できるのです。

2】売上(収入)予測はどのようにおこなうか
 損益計画でも資金繰り計画でも、まずその基本となるのは売上(収入)予測です。損益計画では売上と呼び、資金繰り計画では収入と呼びます。
 開業後3年間(できれば5年間くらい)は、月別に売上(収入)計画をたてましょう。月別を合計したものが年間計画となるわけですが、逆に月別内訳のない年間計画はあまりにも概略すぎて誤差の多いものとなってしまう心配があります。
 マーケットリサーチの結果から、開業月より毎月の1日平均患者数を予測します。この場合科目によっては季節要因による患者増減が予想されますので必ずしも右上がりの数値とならないよう注意が必要です。また、最近は競争激化のためなのか、開業後の患者立ち上がりが悪くその状態がしばらく続く傾向がありますので、患者数を入力する時には注意が必要です。
 何曜日を休日とするのか、また夏期および年末年始の休日をどうするかなどを検討し、月毎の診療稼動日数を暦から計算します。
 患者の一人1日当たりの診療報酬を調べます。一つの指標として中央社会保険医療協議会のデータ(隔年調査)を採用するといいでしょう。
 診療単価×1日平均患者数×診療稼動日数=1カ月の売上(収入)。ただし診療科目が複数の場合は、それぞれの科目で1カ月の売上(収入)を計算し合計しましょう。
 売上(収入)予測のポイントは、やはり1日平均の患者数をどう予測するかという点であり、マーケットリサーチの結果が重要なポイントになります。
*月別の売上(収入)計画表の一例は以下の画像を参照してください。


3】売上原価及び必要経費(支出)見積もり方
 損益計画における売上原価とは医薬品費、医療材料費、検査料(外注)を指します。医薬品費は、院外処方の場合は収入の1〜5%、院内処方の場合は収入の15〜35%。医療材料費は、収入の1〜5%。検査料は、収入の1〜5%。いずれも科目によって違いがあります。
 損益計画における必要経費は人件費、福利厚生費、青色専従者給与、地代・家賃、水道光熱費、事務通信・図書費、交通費、広告費、会議・交際費、警備・清掃・保守、支払手数料、リース料、支払利息、諸会費、公租公課(固定資産税)、その他諸経費などです。
 資金繰り計画(支出の部)においては、損益計画の中では原価や経費として計上されない「所得税、住民税」「元金返済」「住宅ローン返済」「その他既借り入れの返済」「生活費」が支出として、それぞれの項目と金額が計上されます。つまり資金繰り計画においては実際にお金が支払われるすべてのものを「支出」として捉えて計上するのです。医薬品代や材料費、検査代などは、診療報酬の入金にスライドして2カ月後の支払いとするなど、実際の支払いのベースにあわせて作成することが肝要です。何を、何時、いくら、支払うかを記載したものが資金繰り計画表(支出の部)となります。
 各項目の見積もりはコンサルタントや税理士など専門家に依頼しましょう。多くのデータと蓄積されたノウハウで適正な数値を算出してくれます。人件費については、職員採用計画(各年度毎の職種別の人員と給与・ボーナスの予定)を作り、それに基づいて数値を設定しましょう。

(まとめ:三和護、医療局編集委員)


*バックナンバー
◆2006.1.12
開業基礎講座2005/2006】医療方針と経営体制の検討項目

◆2005.12.13

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