2006.02.19

小児動脈性虚血脳卒中用の脳卒中スコア「PedNIHSS」、有用性の一端が報告

 小児の動脈性虚血脳卒中(AIS:arterial ischemic stroke)において、神経症状を予測し、治療法を決定するために利用する脳卒中スコアの開発が進んでいる。米国立衛生研究所の脳卒中スコア (NIHSS) を小児用に応用した脳卒中スコア「PedNIHSS」が代表的だが、その有用性の一端が報告された。カナダ・トロントの小児病院Hospital for Sick ChildrenのAdam Kirton氏らが2月18日のセッション「Pediatric Stroke」で発表した。

 NIHSSは、急性脳卒中発作の重症度を評価するもので、これを使った後ろ向きのスコア化は、成人において有効であるとされてきた。だが、PedNIHSSについては、実際に小児AISで試されたことはほとんどなかった。そこで研究グループは、PedNIHSSが動脈性虚血脳卒中後の神経症状を予測しうるかどうか検討した。

 小児期AISにおいては、脳卒中発作の神経学的な評価指針(PSOM)が確立したツールとして使われている。PedNIHSSの有用性は、このPSOMと比較することで検討された。

 研究グループは、1994〜2004年の間に、同病院に入院しAISと診断された小児109例を対象に、PedNIHSSの有用性を検討した。男児が64例で、平均年齢は6.4±4.5歳(0.5〜17歳)だった。

 神経症状については、6〜24月(平均13.7±5.1月)にわたってPSOMによって評価されており、「良い」 (神経欠損なし、もしくは穏やかな神経欠損) と「劣る」(中等度の神経欠損、もしくは重大な神経欠損) に分類されていた。

 一方、PedNIHSSの予測能は、ロジスティック回帰分析によって評価し、また精度を調べるためにROC曲線を求めた。

 調査の結果、PedNIHSSスコアリングの事前調査(15例)では、後ろ向きあるいは前向きのスコア間で、高い一致率となった(interclass correlation coefficient=0.91、95%信頼区間0.75-0.97、p<0.001)。また、PedNIHSSの総スコアとPSOMスコアは、有意に相関していた(スピアマンの順位相関係数0.308、p=0.001) 。

 神経症状を予測しうるツールとしてのPedNIHSSの精度は、ROC曲線で0.68を示した。PedNIHSSスコア12以上は、86%の特異性をもって「劣る」との神経症状の結果を予測した。ただし感度は50%だった。

 これらの結果から研究グループは、「PedNIHSSは、小児AIS後の神経症状を予測し、後ろ向きの検討でもスコア化が可能だった。神経症状が劣るとの予測は、PedNIHSSスコアが12以上では確実に予測しうることが分かった。ただ、12未満のスコアでは、この限りではない」などと総括。その上で、PedNIHSSの臨床上の有益性をさらに評価するために、現在、多施設間での研究が進行中であることに言及した。(三和護、医療局編集委員)

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