2006.02.18

マイクロバブルを組み合わせた超音波血栓溶解療法に、再疎通率を高める効果

 超音波造影剤として臨床的に使われているマイクロバブルを組み合わせた超音波血栓溶解療法によって、再疎通率の向上が期待できることが報告された。スペイン Vall d'Hebron大学病院のMarta Rubiera氏(写真)が2月16日のセッション「Thrombolysis」で発表した。

 超音波照射によって血栓溶解薬が血栓内により早く浸透し、血栓溶解効果が促進されることが報告されている。こうした基礎実験結果をもとに、超音波血栓溶解療法の急性期脳梗塞への臨床応用が進められているが、研究グループは、さらにマイクロバブルを組み合わせることで、血栓溶解効果を向上させうると考え、研究を重ねてきた。

 対象は、中大脳動脈閉塞のため組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)静注療法を受けた155例。このうち37例は、tPAと経頭蓋超音波ドップラー(TCD)モニタリングを受け(USグループ)、67例は、tPAとTCDモニタリング、さらにマイクロバブル(tPA静注後2分、20分、40分後に投与)を受けた(MBグループ)。tPAのみは36例だった(tPAグループ)。なお、残りの15例(9.7%)は、側頭窓からの評価不能で分析対象から除外されている。

 研究では、それぞれのグループで、tPA静注後2時間のTCDで再疎通を記録し、治療効果として3カ月後の状態をModified Rankin Scale (mRS) スコアで検討した。なお、脳卒中のサブタイプごとの効果も分析しているが、TOAST(Trial of ORG 10172 in Acute Stroke)分類に基づいて実施した。

 全症例(155例)のうち、118例(76%)は近位の中大脳動脈閉塞で、37例(24%)は遠位の中大脳動脈閉塞だった。脳卒中のサブタイプは、心原性脳塞栓症(CE)が76例(49%)、アテローム血栓性脳梗塞(AT)が37例(24%)、不明(UD)が35例(23%)、その他が4%だった。ベースラインでのNIHSS、血塊の位置、治療時間などは、CE、AT、UDとも類似していた。

 治療後2時間の再疎通率は、MBグループが52%で、USグループの40.2%、tPAグループの24%と比べ有意に高かった(p=0.039)。

 脳卒中のサブタイプ別でみると、MB処置は、AT症例群で再疎通率を有意に増加させた(p=0.021) 。AT症例群の場合、MB処置を加えることで、再疎通率は他の処置の1.5から2倍になった(MBグループが39%で、USグループが26%、tPAグループが21%)。一方、脳卒中のサブタイプのCEあるいはUDでは、MB処置を加えても再疎通率は変わらなかった。

 また、治療後3カ月時点でのmRSスコアが2以下の割合は、MBグループでは、ATの36%、CEの48%およびUDの47%だった。なお、AT症例群に着目すると、MBグループでは他のサブタイプと変わらなかったのに対し、USグループとtPAグループでは、それぞれ他のサブタイプの場合より、mRSスコアが2以下の割合は有意に少なかった(それぞれp=0.043とp=0.021)。

 これらの結果から研究グループは、「MB処置を加えることで、特にATの場合に超音波血栓溶解療法が向上することが分かった」と結論した。(三和護、医療局編集委員)

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