2006.02.18

無症候性脳梗塞の増加は中高年の認識能低下を招く

 無症候性脳梗塞(SBI)の増加は、中高年の認識能の低下につながることが、約10年間の追跡研究で明らかになった。島根大学の高橋一夫氏らが2月17日のセッション「Community/Risk Factors」で発表した。

 SBIは、神経学的に正常な高齢者の中に、MRI検査によって頻繁に見られることが分かっていた。最近、高齢者において、SBIは認知症や認知能低下のリスクを増大させるとの報告があり、研究グループは、中高年における両者の関係を明らかにするため、約10年という追跡調査を実施した。

 対象は、1988〜1995年の間に島根大学の脳ドックを受診し、MRI検査や心理テストを受けた1287人。このうち、認知症や脳卒中ではない人は1121人で、51〜65歳までの人は755人だった。

 この755人のうち277人に対して、脳検査の再検査の依頼したところ、203人が依頼に応じ、2003〜2004年の間(平均追跡期間は3640±662日)に再検査を受けた。ただし5人は、追跡期間中に症候性の脳卒中のため除外された。結局、追跡対象となったのは、51〜65歳までの中高年198人(男性107人、女性91人。平均年齢は58.4±4.4歳)だった。

 調査では、MRI検査とOkabeスケール検査の結果をもとに比較検討された。Okabeスケールは、Wechslerの記憶スケールを単純化したもので、情報、精神的コントロール、数字記憶範囲、連合学習の4つのサブスケールから構成されている。これらの4サブスケール全体の総合点は、60ポイントとなる。

 評価のポイントに位置づけた認識能低下は、今回のフォローアップ中に、Okabeスケールが10ポイント減少した場合と定義した。分析では、年齢、性別、体格指数(BMI)、高血圧、糖尿病、高脂血症、飲酒、喫煙、学歴、びまん性白質病変、追跡期間などのデータをもとに行った。

 調査の結果、198人中26人(13.1%)でSBIの増加が認められ、31人(15.7%)で認識能の低下が認められた。単変量解析では、SBIの増加および年齢が、有意に認識の低下と関連していることが示唆された(それぞれp=0.038、p=0.044) 。多変量ロジスティック回帰分析では、唯一、SBIの増加が認識能低下の有意な独立予測因子であった(オッズ比2.9、95%信頼区間1.02-8.48) 。

 この結果から研究グループは、「SBIが増加することは、中高年の認識能の低下を招く」と結論づけた。(三和護、医療局編集委員)

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