2006.02.17

急性脳梗塞の症例で、アルブミン療法の有効性が示される

 急性脳梗塞の患者に対するアルブミン療法は、安全で効果的であるとする報告があった。韓国Ajou大学のDong Hoon Shin氏(写真)らが2月16日、セッション「Acute Management」で発表した。

 脳卒中発作に対して、現在、利用可能な専門的治療法は、血栓溶解療法が代表的である。しかし、実際に臨床現場で行う場合は、治療濃度域が狭いことや副作用のために制限されることが少なくない。ところが最近、動物実験において、アルブミン療法が脳卒中発作に有益な効果を持つことが明らかになった。そこで研究グループは、急性脳梗塞の症例でアルブミン療法を試み、臨床経過と神経細胞の欠損状況を前向きに評価・検討した。

 対象は、2004年8月から2005年6月の間に、中大脳動脈領域内の脳梗塞を起こした45症例(非ラクナ梗塞)。アルブミン療法を実施したのは29例で、発作後12時間以内に、8例にはアルブミン0.63g/kgを2時間で、12例にはアルブミン1.25g/kgを4時間で、それぞれ静注した。残りの9例は、発作後12〜24時間以内に、アルブミン1.25g/kgを4時間で静注した。16例は対照群とし、食塩水の注射を行った。

 研究では、発作後3カ月間にわたって、神経細胞の欠損の変化あるいは機能改善などについて、グループ間で比較検討した。脳の画像検査を実施し、発作後72〜96時間に脳梗塞の損傷領域を測定し、発作直後の損傷領域からの変化率を求めた。

 試験の結果、3カ月間に、アルブミン療法に関係した副作用は認められなかったという。また、アルブミン療法を実施したグループの方が、対照群より、早期の臨床経過が良かった。たとえば、治療開始から14日目に測定した米国立衛生研究所の脳卒中スコア (NIHSS)と治療開始時のスコアと差は、対照群がマイナス1.14だったが、アルブミン療法群ではマイナス4.42で、アルブミン療法群の方が優位に減少(状態が回復)していた(p=0.003)。

 発作後3カ月での、患者予後を評価するModified Rankinスコア、ADL評価法の1つであるBarthel indexの変化を見たところ、アルブミン療法群ではマイナス1.58とプラス39.6だったのに対し、対照群ではそれぞれマイナス0.43、プラス17.3だった。

 加えて、脳梗塞の損傷領域の変化率は、対照群が66.62%だったのに対し、アルブミン療法群が24.96%と著しく小さくなっていた。なお、アルブミン療法の効果は、投与量と発作から投与までの時間の影響を受けていた。アルブミン0.63g/kg静注グループよりもアルブミン1.25g/kg静注グループの方が効果が高く、また、同じアルブミン1.25g/kg静注でも、発作から12時間以内に静注した方が12〜24時間以内の静注より効果が高かった。

 研究グループは、「急性脳梗塞の患者に対するアルブミン療法は、安全で効果的である」とし、「発作から治療までの時間帯が広いという特徴もある」と臨床上のメリットも強調していた。(三和護、医療局編集委員)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 疼痛治療薬が効果なし…メンタルと思いきや 「こじらせ疼痛」にどう向き合う FBシェア数:0
  2. 45歳男性。自力で動けない。 日経メディクイズ●救急 FBシェア数:0
  3. 研修医が意識しておくべき最低限の心構えとは イケてる指導医が研修医に伝えたいこと FBシェア数:177
  4. かかりつけ医の普及に本腰、でも1人開業医は… 特集◎2018年度診療・介護報酬改定のインパクト《5》 FBシェア数:34
  5. 肺癌見落としで40代女性死亡、河北健診クリニック 河北医療財団「係争化はしていない。遺族と協議中」 FBシェア数:0
  6. N95マスクは何度まで使えるのか? 倉原優の「こちら呼吸器病棟」 FBシェア数:0
  7. メジャー疾患のガイドライン改訂が目白押し 総合内科専門医試験 「一発合格」への道 FBシェア数:0
  8. 腎機能を確認せずに造影CTを行うのは罪? 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:152
  9. 専門医機構の新理事長は医学会連合の寺本民生氏 2019年度の専攻医募集は「9月を目指す」 FBシェア数:0
  10. 熱中症で倒れた新撰組沖田総司 病と歴史への招待 FBシェア数:26
医師と医学研究者におすすめの英文校正