2006.02.15

【日本消化管学会:イブニングセミナー1】小腸疾患の診断と治療の新展開―カプセル&ダブルバルーン内視鏡

 本セミナーでは、これまで「暗黒大陸」と呼ばれてきた小腸領域の診断を大きく変えた2つの新しい内視鏡、「カプセル内視鏡」と「ダブルバルーン内視鏡」をテーマに、それぞれの特徴や限界、使い分けの考え方について、5人の演者が発表した。

 カプセル内視鏡は文字通り、錠剤の形をした内視鏡で、被験者が内服薬のように飲み込んで検査を行う。撮影された画像は、被験者が腹部に付けたセンサーから腰に付けた記録装置へと送られる。検査後に医師が記録装置内の画像を読影する。欧米では2001年から、イスラエルのギブンイメージング社が開発したものが広く使われている。だが、日本では現在承認申請中のため、獨協医科大学を中心に、全国10施設が自主研究の形でカプセル内視鏡検査を行っている。

 一方のダブルバルーン内視鏡は、スコープとそれを覆う軟らかいオーバーチューブから成り、両方の先端にラテックス製のバルーンが付いている。自治医科大学消化器内科の山本博徳氏が中心となって開発したもので、バルーンを交互に膨張・収縮させて腸管の伸展を防ぎながら深部小腸へと挿入していく。2003年11月より市販されている。

 セミナーで獨協医科大学光学医療センターの白川勝朗氏は、原因不明の消化管出血としてカプセル内視鏡検査を行った場合、小腸原発腫瘍が良性のものを含めて約3割で見つかったと発表した。小腸腫瘍は発見が難しいため、診断時に既に転移がみられるなど予後が悪い。白川氏は「腫瘍発見率が3割にも上ったのは紹介患者が多い影響もあるが、カプセル内視鏡を使うことで小さな病変でも捉えられるようになったのは事実。小腸腫瘍の早期発見に有用な可能性がある」と期待を寄せた。

 なお、クローン病などの炎症性腸疾患は、腸管の癒着や狭窄の可能性があるため、カプセル内視鏡検査の前に小腸造影を行い、狭窄の有無を確認するよう求められている。これに対し、京都大学消化器内科の仲瀬裕志氏は、ダブルバルーン内視鏡ならば柔軟性に優れており、挿入困難例でも全小腸の観察率が非常に高いと強調した。

 さらに仲瀬氏は、原因不明の消化管出血への対応として、「まず小腸造影を行い、診断できない場合は経肛門的にダブルバルーン内視鏡検査を行う。検査時に出血源が分からなければ、挿入限界点に点墨をし、次の出血がみられたときに速やかにカプセル内視鏡検査を実施して、出血源が点墨の上部か下部かを判断する」と、コツを披露した。

 最後に挨拶に立った獨協医科大学学長の寺野彰氏は、「演題採択の際、小腸疾患に関する演題が非常に増えたという印象を持った。今後、どちらの内視鏡についても、画質や操作性などの面で、より改良が進むことが期待される」と締めくくった。(小又理恵子)

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