2006.02.14

【日本消化管学会速報】最近になるほど治療成績が下がる? 機能性胃腸症のメタアナリシスから

 消化管機能改善薬を用いた機能性胃腸症(Functional Dyspepsia:FD)の治療成績が、なぜか最近になるほど低下する傾向にあるという。第2回日本消化管学会のシンポジウムで、広島大学保健管理センターの日山亨氏が報告した。消化管運動機能改善薬の治療効果について、一部に否定的な報告もあるため、日山氏らがメタアナリシスにより解析したところ、トータルではプラセボに比べて約30%治療成績が優れているという結論だったが、なぜか、発表年が新しい論文ほどプラセボ群との差が縮まる傾向にあった。原因は不明だという。

 同氏らは、MEDLINEとコクラン・ライブラリーを使用して1951〜2005年1月までに発表された論文の中から、6種類の消化管機能改善薬(メトクロプラミド、ドンペリドン、トリメブチン、シサプリド、イトプリド、モサプリド)とプラセボを比較した臨床試験を検索した。検索条件は、(1)FDの診断がついている患者を対象にしており、(2)ランダム割り付けされた二重盲検試験で、(3)治療期間は短くとも2週間以上取られていて、(4)治療効果判定に対する定義が明確なものだ。

 最終的条件に合致したのは28論文で、全体の人数は実薬群1862人、プラセボ群が1609人。プラセボ群に比べ実薬群の治療成績が29.5%(95%信頼区間は20.8〜38.2%)優れていたが、最近の論文になるほど治療成績が低下する傾向があった。

 会場からはローマ基準の前と最近とでは機能性胃腸症の概念が変わっているためではないかという指摘があったが、因果関係ははっきりしていない。なお、最近の機能性胃腸症の定義は、1999年に国際会議で作成されたローマ基準2に従っている。12カ月以内に、少なくとも12週間以上の消化不良症状があるのに器質的な異常が見つからず、症状の程度が排便や便の性状と無関係な(過敏性腸症候群を除外)ものだ。その中でも潰瘍型、運動不全型、非特異型3つのタイプに分類されている。

 潰瘍型は胃酸分泌が多いタイプで、痛みを伴いやすく欧米に比較的多いとされる。これに対してわが国では、胃から腸への排出能が低下して胃もたれや食欲不振などが起こる運動不全型患者が多いとされる。どちらにも当てはまらないのが非特異型だ。メタアナリシスの対象は、28論文中23が欧米のデータであるため、プロトンポンプ阻害薬治療に適した酸分泌型が多いことが考えられ、わが国では違う結論が導かれる可能性もある。

 わが国でもFDに対するモサプリドとテプレノンの効果を比較した大規模ランダム化臨床比較試験(Japan Mosapride Mega Study;JMMS)が進められており、この春にも解析結果が報告される予定になっている。こちらの結論が待たれる。(平田尚弘)


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