2006.02.13

【日本消化管学会速報】ESDの術前診断の限界がフォーラムで議論に

 第2回日本消化管学会総会初日の2月11日、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)をテーマにフォーラムが開催された。ESDは特殊な器具(ナイフ)を用いて病変の粘膜下層を切開・剥離する内視鏡治療。従来の内視鏡的粘膜切除術(EMR)より広範囲の一括切除が可能なため、早期胃がん治療の新たな手技として、急速に普及している。

 フォーラムでは計11演題が発表され、術後に側方断端や深部断端が陽性と分かって、結果的に1回のESDでは局所不完全切除となった病変の取り扱いをめぐり、議論となった。

 水平方向の範囲誤認については、ESDやEMR、アルゴンプラズマ凝固法といった内視鏡治療を追加することで対応可能であるものの、術前診断の精度をどう上げていくかが今後の課題になるとされた。これについて、新潟大学医歯学総合病院光学医療診療部の竹内学氏と、広島市立広島市民病院内科の中川昌浩氏は、切除範囲を決定する際に拡大観察が有用と述べた。

 術後に粘膜下層深部への浸潤やリンパ節転移が明らかになることもある。こうした垂直方向の範囲誤認について、北里大学東病院消化器内科の田辺聡氏は、「ESDの結果、外科的手術が必要と分かった人のうち、実際に手術を行えるのは半数程度にとどまるように思う。全身状態や他の慢性疾患との兼ね合いで本当に手術が行えない症例も多いが、ESDで治ったと思ってしまう人がいることは、ESDの功罪の“罪”の面と言えるのではないか」と話した。

 ただ、術前に生検やエコーを行っても、がんの垂直方向の深達度を正確に把握するのは難しい。佐賀県立病院好生館内科の中原伸氏は、「拡大観察も生検も完璧な方法ではない。複数の方法を組み合わせ、少しでも精度を上げるよう努力していくしかない」と主張した。(小又理恵子)


■ 関連トピックス ■
◆2006.3.16 日本胃癌学会速報】 保険適応になったESD、今後の課題が研究会で議論
◆2005.10.17 DDW-Japan2005速報】 ESDの有効性と安全性を明確にする前向き試験まもなくスタート
◆2005.10.11 DDW-Japan2005速報】 体格と相関しない脂肪沈着が胃のESDを困難にしている
◆2005.8.29 大腸IIc研究会速報】 世界的スペシャリストも苦戦する困難例のライブデモを披露
◆2005.7.22 EMR研究会速報】 胃癌に対するESDの適応拡大範囲が議論に
◆2005.7.22 EMR研究会速報】 習得難しい内視鏡的粘膜下層剥離術 研究会が来年、トレーニングコースを開催
◆2005.5.31 消化器内視鏡学会速報】 “ゴッドハンド”による特別ハンズオンレクチャー開催
◆2005.5.27 消化器内視鏡学会速報】 東京で第69回日本消化器内視鏡学会総会が開幕
◆2005.4.6 ここまで進化した消化管内視鏡 「日経メディカル4月号特別編集版」より

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