2006.02.09

白血球数が多いとがん死のリスクが7割増、豪州での研究

 炎症マーカーとして広く用いられている白血球数(WBC)が高値を示すと、あらゆるがんによる死亡リスクが高まることは既に示唆されている。シンガポール国立大学のAnoop Shankar氏らは、豪州で、がんではない高齢者の集団を約10年追跡し、当初の白血球数が低い人々に比べ、高値の人では、がん死の相対リスクが1.73倍になることを確かめた。詳細は、Archives of Internal Medicine誌2006年1月24日号に報告された。

 炎症過程は、がんの発生と進行にも関与する。これまで、白血球数とあらゆるがんによる死亡との間に、統計学的に有意な関係を見出した研究は、わずかながらあったが、それらは交絡因子候補として重要な、糖尿病または高血糖症で調整していなかった。白血球数や他の炎症マーカーの上昇と糖尿病の関係を示した報告が複数あり、また、糖尿病とある種のがんの関係も占めされていることから、著者たちは、糖尿病にも十分な注意を払って、白血球数とあらゆるがんによる死の関係を前向きに調べることにした。

 豪州Sydney近郊の集団を対象に、コホート研究を実施、1992年1月1日から1994年12月31日までに、がんではない49〜84歳(平均年齢65.9歳)の3189人を登録した。ベースラインで白血球数が有意に高かったのは、喫煙者、糖尿病患者、空腹時血糖値やヘマトクリット値が高い人、運動不足の人々だった。

 2001年12月31日までのがんによる死者は212人。白血球数を基に対象者を4群に分け、年齢、性別、学歴、BMI、ヘマトクリット値、アルコール摂取量、運動不足、喫煙、定期的なアスピリンの摂取、糖尿病または空腹時高血糖、空腹時血糖値で調整した比例ハザード・モデルを用いて、あらゆるがんによる死の相対リスクを分析した。

 その結果、最低四分位群(5300個/マイクロリットル以下)と比較すると、最高四分位群(7400個/μL以上)の相対リスクは1.73になった。白血球数が上昇するにつれてがん死の相対リスクも上昇した(傾向のP値=0.005)。

 症例数は少なめだが、サブグループ解析を実施。糖尿病または空腹時高血糖患者のなかで、白血球数が最高四分位群に属する患者を最低四分位群と比較した場合の相対リスクは3.03。血糖値正常者の最高四分位群を最低四分位群と比較すると相対リスクは1.68で、大きな差が認められた。

 近年、アスピリンその他の抗炎症剤ががんリスクを低減するという報告があるため、アスピリンの使用頻度で患者を2分し、白血球数とがん死の関係を調べた。アスピリン服用が週3回未満の人々の中で、白血球数が最高四分位群を最低四分位群と比較すると、相対リスクは1.83。週3回以上服用するグループについても同様に相対リスクを求めたところ、1.33だった。この結果は、アスピリンの定期的服用によって、白血球数高値群のがん死亡リスクを低減できる可能性を示唆した。

 著者たちは、これらのデータによって、白血球数とがん死亡の関係について、新たな疫学的エビデンスを提供したと述べている。

 本論文の原題は「Association Between Circulating White Blood Cell Count and Cancer Mortality」。現在、全文が、こちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)


■ 関連トピックス ■
◆2005.4.4 白血球数多い高齢女性は心血管疾患リスク高い、米国の閉経女性7万人の調査で明らかに

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