2006.01.31

エイズ治療の新たな3剤併用療法「テノフォビル/エムトリシタビン/エファビレンツ」の有効性と安全性がNEJM誌で報告

 エイズウイルス(HIV)の増殖を持続的に抑制する新たな抗レトロウイルス薬療法の有効性と安全性が確認された。米Johns Hopkins大学のJoel E. Gallant氏らは、前向きの多施設試験を行い、現在米厚生省(HHS)が第1選択として推奨しているレジメンより、テノフォビル/エムトリシタビン/エファビレンツの1日1回投与の方が、血清ウイルス量、CD4細胞数という指標において有効であり、副作用による治療中止の頻度も有意に低いことを示した。詳細はNew England Journal of Medicine(NEJM)誌2006年1月19日号に報告された。

 研究者たちは、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペインの6カ国で、オープンラベルの非劣性試験を実施した。抗ウイルス治療経験がない18歳以上のHIV感染者517人を登録、2分して、テノフォビル、エムトリシタビン、エファビレンツを1日1回、または、ジドブジンとラミブジンの配合剤(Combivir)を1日2回とエファビレンツを1日1回、のいずれかに1対1で無作為に割り付けた。

 主要エンドポイントは、エファビレンツ感受性だった患者のうち、48週時にHIVのRNA値が400コピー/mL未満だった患者の比率とされた。試験の結果は、テノフォビル群が84%、配合剤群は73%で、差の95%信頼区間は4-19%(P=0.002)と有意差が認められた。著者らは、差の95%信頼区間の下限が-13%以上であれば非劣性と設定しており、主要エンドポイントにおいて非劣性が示された。

 48週時にHIV RNA値が50コピー/mL未満の患者の割合も80%と70%(差の95%信頼区間は2-17%、P=0.02)で、テノフォビル群の非劣性と、有意に高い反応が明らかになった。CD4細胞数(190個/mLと158個/mL、差の95%信頼区間は9-55、P=0.002)についても同様の結果が得られた。服薬指示を遵守した患者の割合は、テノフォビル群90%、配合剤群87%(P=0.04)だった。また、遺伝子型解析を実施したところ、どちらの群にもテノフォビル耐性は生じていなかった。

 副作用(グレード2から4)は、テノフォビル群の63%、配合剤群の63%に見られた。検査値にグレード2から4の異常が現れた患者の割合も、56%対57%で同等だった。が、副作用による治療中止は、テノフォビル群に比べ、配合剤群で有意に多かった(9%対4%、P=0.02)。最も多かったのは貧血(14人)。テノフォビル群では貧血による治療中止は1例も見られなかった。

 患者たちの体重の増加は、テノフォビル群の方が多い傾向を示した。テノフォビル群で平均2.1kg増加したのに対し、配合剤群では1.1kg増加(P=0.14)。

 以上の結果は、テノフォビル・レジメンは、配合剤+エファビレンツ治療に対する非劣性のクライテリアを満たし、さらに、ウイルス抑制、CD4数、治療中止に至る副作用という点では優れていることを示した。

 著者たちは、3剤の配合剤ができれば、指示遵守はさらに高まるだろうと述べている。既に米Giliad社と米Bristol-Myers Squibb社は、テノフォビル+エムトリシタビン配合剤(Truvada)とエファビレンツを組み合わせた製品を開発しており、2006年代2四半期には、FDAに対する市販許可申請が予定されている。

 本論文の原題は「Tenofovir DF, Emtricitabine, and Efavirenz vs. Zidovudine, Lamivudine, and Efavirenz for HIV」。アブストラクトはNEJM誌Webサイトのこちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)


■ 関連トピックス ■
◆2005.2.10 CDC、非職業上のHIV暴露後予防(nPEP)にHAARTの適用を推奨
◆2003.7.16 HHSがHIV治療ガイドラインを改訂、初めて“第一選択のレジメン”を明示

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