2006.01.16

遺伝子多型が心筋梗塞の発症と予後の危険因子に−−成人病学会会長講演から

 大阪大学大学院医学系研究科教授の堀正二氏は、1月14日に都内で開催された日本成人病(生活習慣病)学会の会長講演で、心筋梗塞のリスクファクターについて講演を行い、大規模観察研究調査を踏まえた古典的危険因子を説明するとともに、遺伝子多型が心筋梗塞の発症と予後の危険因子となり得ることを説明した。

 堀氏はまず、1998年4月から大阪地区の心臓救急病院25施設で心筋梗塞患者の観察を行っている大阪急性冠症候群研究会(OACIS)で集積した6900例を超えるデータを基に解析した結果を発表した。生存退院した心筋梗塞例では、古典的危険因子の中で、糖尿病と高血圧が独立した1年死亡率の危険因子であることを示した。糖尿病患者では、最梗塞、心不全合併が多く、このことが死亡率を高めているのではないかと堀氏は推測した。またメタボリックシンドロームが糖尿病と同等の心筋梗塞発症危険因子であることも指摘した。

 次に堀氏はゲノムワイド関連解析を行って心筋梗塞感受性遺伝子としてリンフォトキシンα(LTA)遺伝子を同定した例を紹介した。LTAの252番目のアデニンがグアニンに変わった多型が心筋梗塞の発症と関連するだけでなく、心筋梗塞患者を対象とした前向き観察研究で、梗塞発症後の死亡の独立した規定因子であることも明らかにした。

 また、688人の2型糖尿病患者を対象に頸動脈内膜中膜複合体肥厚度(IMT)を指標に、動脈効果関連遺伝子多型の解析を行った。その結果、堀氏はLTAの多型はIMTを高める因子であり、さらにアンギオテンシン変換酵素遺伝子の多型、ATP-binding cassette transporter A1の遺伝子多型と組み合わさるとIMTが相乗的に高まって、心筋梗塞の発症頻度を大きく高めることが分かっていると説明した。(横山勇生)

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