2006.01.13

65歳で内科専門医取得、受験緩和措置を利用しチャレンジ

 日本内科学会が行う認定内科専門医試験の緩和措置(注1)の申し込み書類の請求がこの1月31日で締め切られる(注2)。受験の申し込み期間は3月1日〜31日で、試験の実施は今年9月。緩和措置に基づく試験は昨年と今年の2回のみの特例とあって、受験を検討している医師は多い。昨年9月の試験で合格した、船橋市医師会会長で吉田医院院長の吉田幸一郎氏(66歳)に、その試験対策について聞いた。

受験のきっかけはなんですか
 一昨年、日本内科学会から緩和措置の必要性に関するアンケートが来て、興味を持ちました。開業して26年たち、診療や医師会の仕事と並行して勉強するのは大変だなとは思いましたが、将来が長い仕事だし、何とか時間を割いて挑戦してみることにしました。ただ、難しい試験だと聞いていたので、“受かればもうけもの”といった感じで受験したというのが正直なところです。

出願から受験までの半年間の試験対策は
 不得意な分野を重点的に勉強し直しました。まず、日本内科学会雑誌のバックナンバーを引っ張り出して、過去3年分、計36冊について1日の1冊ペースで目を通しました。毎号の特集の最後にある「トレーニング問題」を最初に解き、間違ったところは特集ページを読んで大学ノートに書き写して覚えるようにしました。雑誌に蛍光ペンを引いただけでは、覚えた気にはなっても頭に入ってきませんから(笑)。あと、認定内科医の試験は過去問が公表されているので、これを5年分解きました。足りないバックナンバーや過去問のコピーは日本内科学会に問い合わせたら無料でもらえたので、助かりました。これらで基本を押さえました。

専門医試験の過去問は出回っていませんが、模擬試験を行うために何か良い手段は
 内科専門医資格を更新する際には、「セルフトレーニング問題」を解かなければなりません。この過去問は手に入ります。問題が資格取得のための試験と似ているので、試験の雰囲気をつかむにはいいかもしれません。知人の医師は5年分解いたそうです。既に資格を更新している医師が周りにいれば、譲ってもらってもいいでしょう。内科専門医試験の対策本も市販されていますが、「難しい試験なんだな」ということが分かったくらいで、正直あまり役立ちませんでした。

市販の教科書などでお薦めはありますか
 「year note ATLAS」(MEDIC MEDIA)が役に立ちました。病理組織や心電図、内視鏡などの異常所見をまとめた画像集です。国家試験対策などに使われているようですが、特に私のような開業医は、普段は検体を検査センターに出したり患者を病院に紹介してしまうので、勤務医に比べて画像を見慣れていない。でも試験には、肺炎球菌の顕微鏡写真を見て「この症例にふさわしい薬剤はどれか?」とか、肝臓のエコー図を見て「どの区域に病変があるか?」など、目で見て判断する問題が結構出るので、この書籍はそういうトレーニングに役立ちました。

試験当日の手応えは
 今まで受けた試験でこれほど圧迫感のあるものはありませんでした。だだっ広い試験会場(パシフィコ横浜)に座らされて、胸苦しくなってしまいました。たまたま試験監督が大学の後輩だったりしたものだから、変なプレッシャーもあったりして(笑)。午前と午後を合わせて300分で260題、雑誌3冊分ほどの量の問題を、1問1分のペースで解かねばならず、体力的にも参りました。自己採点では4割くらいしかできていないと思っていたので、後に合格を知った時にはうれしかった。血液や感染、リウマチ、腎臓など、勤務医時代に専門的に診ていた分野の経験が役立ったように思います。私が最高齢受験者だと思っていたのですが、後に内科専門医名簿を見たら大学の4年先輩も受けていたことが判明しました。

半年間の受験勉強を振り返っての感想を聞かせてください
 ラテックス・フルーツ症候群や運動誘発性の食物アレルギーなど、最新の話題に触れ、知識のブラッシュアップができた点は良かった。実際に試験問題としても出ましたから。

 内科医であれば、不定愁訴を訴える患者に対して、甲状腺や循環器など、様々な角度から診ることができないといけない。内科専門医試験はそういう判断能力を養ういい機会になると思います。臨床研修が必修化されたので、特に指導医をされている先生には今回の緩和措置を利用してぜひ受験していただきたいです。 試験勉強を通じて、勉強する習慣が身に付いたのも良かった。もっとも、医師の仕事は患者さんから教わることが多い。やはり患者さんを診察する中で、日々勉強していかないとだめですね。(聞き手:井田恭子=日経メディカル


注1)認定内科専門医受験資格緩和措置とは・・・
 内科専門医が2003年2月から広告に標榜できるようになったことを受け、2005年と2006年の2回実施される措置。認定内科医が内科専門医の受験資格を得るためには、日本内科学会認定施設での研修と病歴要約の提出が課せられている。しかし、長年内科診療に従事しているものの、認定施設でない医療機関に勤務しているなどの理由で、これらの条件を満たすことが不可能な認定内科医は多い。受験資格の緩和措置は、認定内科医として内科診療に従事しており、かつ1回以上更新(認定内科医取得後5年以上経過)している医師を対象にしている。該当者は、上記の受験資格がなくても試験を受けられ、内科専門医資格が得られる。試験日程や試験問題、合格基準は通常の認定内科専門医資格認定試験と同様(昨年の受験者数、合格率は日本内科学会誌2006年1月20日号で公表予定)。

注2)受験申し込み書類は、日本内科学会誌に綴じ込んである「受験申し込み書類請求用紙」を郵送・FAX、もしくは同会ホームページ(http://www.naika.or.jp/)会員専用サイトから請求できる(日本内科学会連絡先:03-3813-5991)。


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