2006.01.13

急性非淋菌性尿道炎にアデノウイルスやHSV-1も関与 コンドームなしのオーラルセックスが感染リスク高める

 風邪症状などを起こすウイルスがオーラルセックスによって感染し、男性の非淋菌性尿道炎の原因の1つになっている可能性が新たに指摘された。豪Alfred 病院のCatriona S. Bradshaw氏らの研究成果で、詳細は、Journal of Infectious Diseases誌2006年2月1日号に報告された。

 急性の非淋菌性尿道炎(NGU)は、男性の性行為感染症の中で最も一般的なものの1つだ。Bradshaw氏らは、NGUの症状がある男性と無症候の対照群の計636人を対象に、NGUに関係する病原体の同定と、リスク行為の特定を試みた。得られた結果は、NGUの原因としてよく知られるクラミジア、マイコプラズマの感染は、女性との性行為、コンドームなしでの膣性交により起こりやすいこと、それらの病原菌に加えて、アデノウイルスと単純ヘルペス・ウイルス1型(HSV-1)もNGUに関係しており、男性との性行為、コンドームなしでの口腔性交が感染リスクを高めることを示した。また、病原体が特定されなかったNGUとコンドームなしの口腔性交との間に、有意な関係が認められ、これまでは検査対象になっていなかった口腔咽頭由来の病原体が、NGUの原因になる可能性を示唆した。

 急性NGUの30〜50%がクラミジア(Chlamydia trachomatis)、10〜30%がマイコプラズマ(Mycoplasma genitalium)によると報告されている。ウイルスがNGUを引きおこす可能性について調べた研究はわずかだ。

 対象は、ヘテロセクシャルまたはホモセクシャルの男性636人(平均年齢32.3歳)。そのうち、無症候の307人を対照群とした。診察のほか、質問票を用いて症状(分泌物、排尿困難、焼けつく痛み、かゆみ)のレベルを尋ね、過去1カ月間の性行為の内容も明らかにした。出始めの尿を採取、PCR法を適用して、C. trachomatis、M. genitalium、ウレアプラズマ(Ureaplasma parvum、U. urealyticum)、HSV-1、HSV-2、アデノウイルス、ガードネレラ(Gardnerella vaginalis)を検出。症候者からは尿道スメアを採取し、PMNL数を調べた。

 NGU(329人)患者のうち、212人からは病原体が検出されなかった。特定された病原体は、C. trachomatis(63人、全体の20%)、M. genitalium(31人、9%)、アデノウイルス(13人、4%)、HSV-1(9人、2%)。U. parvum、U. urealyticum、G. vaginalisは、対照群に、より高頻度に認められた。

 特定の病原体の感染により特異的な症状が生じるかどうかを調べたところ、C. trachomatis感染者の場合、尿標本の顕微鏡検査で粘液糸が認められる頻度が有意に高かった(p<0.001)。HSV-1またはアデノウイルス感染者の場合には、尿道口炎と中-重度の排尿困難の頻度が高かった(p<0.001)。

 性的嗜好と病原体の関係を調べた。HSV-1またはアデノウイルスの存在は、過去1カ月間の男性との性行為と有意に関係していた(p=0.03)。C. trachomatisとM. genitaliumの感染と、女性との性行為の間には、関連が示唆された(p=0.07)。

 対照群の中で病原体が検出されなかったグループと、感染病原体が特定された患者群の性的嗜好を比較したところ、以下の場合に、有意なリスク上昇が認められた。その場限りの相手とのコンドームを使用しない膣性交とC. trachomatis(オッズ比2.6、1.5-4.6)、および、M. genitalium(2.5、1.1-5.3)の感染。その場限りの相手とのコンドームを使用しない口腔性交とアデノウイルス(3.9、1.1-14.6)、および、C. trachomatis(2.1、1.2-3.6)の感染。その場限りの相手とのコンドームを使用しない口腔性交とHSV-1との関係も示唆された(p=0.18)。

 その場限りの相手とのコンドームを使用しない口腔性交と、病原体が検出されないNGU患者との間にも、有意な関係が認められた。対象者から、その場限りの相手とのコンドームを使用しない膣性交または肛門性交の経験者を除き、口腔性交のみ行った患者に限定すると、オッズ比は8.5(3.6-20.5)となった。

 また、病原体が検出されなかった患者でも、対照群に比べリスク行為が多かった人々については、症状は、病原体が特定された人と同等だった。したがって、今回検査の対象とならなかった病原体の感染が疑われた。

 PMNL数5個以上はNGU患者の42%(133人)に見られた。が、5個未満だった患者の20%からも病原体が検出された。したがって、炎症の存在を示すPMNL数が5個未満だからといって、病原体の存在は否定されないことが示された。

 本論文の原題は「Etiologies of Nongonococcal Urethritis: Bacteria, Viruses, and the Association with Orogenital Exposure」。Journal of Infectious Diseases誌Webサイトのこちらで現在、全文が閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)


■ 関連トピックス ■
◆2005.7.7 エイズ国際会議速報】オーラルセックスでコンドーム「使いたい」が7割、「使わない」が5割超、性風俗で働く女性、リスク知りながら雇用主や客に抗しきれない実態明らかに
◆2005.4.22 オーラルセックスは安全で罪悪感少ない、米国ローティーンのSEX感覚、580人の調査で明らかに
◆2004.8.17 オーラルセックスの「普通の行為」化でクラミジア咽頭感染が増えている


Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. トイレにこそ、人間の尊厳がある Dr.西&Dr.宮森の「高齢者診療はエビデンスだけじゃいかんのです」 FBシェア数:479
  2. 「どうしてこんな急に!」急変時の家族対応は 平方眞の「看取りの技術」 FBシェア数:12
  3. 輸液の入門書 医学書ソムリエ FBシェア数:0
  4. オピオイドの用量調節とスイッチングの基本方法 国分秀也の「ゼロから学ぶオピオイド」 FBシェア数:105
  5. わいせつ容疑の外科医、初公判で無罪を主張 「乳腺科医のプライドにかけて無罪を主張します」 FBシェア数:582
  6. 「真面目なメンタルケア」が真面目ちゃんを苦しめる 研修医のための人生ライフ向上塾! FBシェア数:0
  7. 難治性皮膚潰瘍を再生医療で治す リポート◎大リーガー田中将大投手のケガも治したPRP療法とは? FBシェア数:20
  8. インフル入院患者、届出数が100人を超える インフルエンザ診療Next:トピックス FBシェア数:109
  9. 医療者は認知症家族との暮らしが分からない 患者と医師の認識ギャップ考 FBシェア数:196
  10. 下血? 血便? 赤いの? 赤くないの? 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:180