2006.01.12

【開業基礎講座2005/2006】医療方針と経営体制の検討項目

 MedWaveは、特に診療所の開業をご検討の方、あるいは既に開業された方を念頭に、「診療所開業ガイド」を開設しています。日経ヘルスケア21と MedWaveのジョイント・サイトです。新たに「基礎講座2005/2006」を開講しました。今月のテーマは「医療方針と経営体制の検討項目」です。

開業基礎講座2005/2006】医療方針と経営体制の検討項目

医院開業コンサルタント 匠  
原田裕士 氏
http://www.takuminet.co.jp/

(1)医療の内容をどのように検討するか

 対象とする病気を、標榜科目だけではなく、もっと具体的に何にするかを検討します。例えば「内科一般」「糖尿病外来」「血圧外来」「頭痛外来」とするかなどです。「他の内科診療所と比べてどこが違うのか」を明確にし、自院の特徴、専門性を打ち出すようにしましょう。

 そのためには、診療所開業の理由や医師としての能力と経験、あるいは地域のニーズなどをもとに「こういう医療をやりたい」という強い信念が必要となります。開業にあたって、最もエネルギーを費やして検討すべき重要な課題です。

 医療の内容と関連して、医療の質の確保と向上も重要なことです。この点では次の事柄から、自分にあった方法を工夫していきましょう。

・院長自身が自院の休みの日に他の病院で診察を担当し、最新の医療を研修する。また、勉強会や研修会に参加してみたり医学雑誌やインターネットなどを活用することにより、自ら率先して診療所内に医療の質を向上させるための積極的な雰囲気を作り出す。

・看護師などを外部研修に派遣する。限られた職員配置の中では容易なことではないが、社会全体の情報化・知識化への積極的な対応を進める。定期的に且つ交代で派遣することが大切で、研修受講者は必ず報告会を開いて職員全員にその内容を周知徹底する。

・「部分的な活用」でもよいから、病院向けの医療機能評価やISO(国際品質機構)などの方法を自分たちにも導入することにより、医療やサービスの標準化、マニュアル化などで、実質的な効果を目指す。
 また、医療の内容を十分患者に理解してもらうためには、患者への説明に工夫を凝らすことが大切です。患者が信頼を置く診療所の条件はいくつもありますが、患者への説明は最も基本的な条件の一つです。セミナーやVTRなどで勉強し、実際に自分で何度も練習しましょう。
 
(2)「医療だけ」から「予防・介護への拡大」にどう対応するか

 ほとんどの診療所では、「予防・介護への拡大」の流れに積極的な対応が必要となります。具体的な進め方は次のようになります。

A.介護施設との連携を、次のように進めます。
 第1には、介護利用者情報の伝達方法を工夫することです。医療の場合には看護記録のノウハウが長い歴史を経て確立されていますが、介護の場合にはそのようなノウハウは未確立なので、市販の介護記録ノートなどを活用し、バイタルチェックなどにとどまらない情報を検討して活用することが現実的です。

 第2には、医療職と介護職が、相互の業務を理解し尊敬して意見や情報を交換することです。医療職が介護職を「知識がない」と見下したり、介護職が医療職を「能書きばかりで現実を知らない」と思っている相互不信の状態を脱することが必要です。そのためには、ケースカンファレンスのような形で意見交換をすれば、お互いに相手の優れた点を理解できるようになります。相互の意識改革が最前提となります。

B.予防充実の方向性を、自院の医療の内容と関係させて確認します。
 社会の基本的な考えは、「病気を治す」から「病気の予防・健康維持・生活維持」へと大きく変化しています。その流れが、自院の診療科目や立地条件にどのような影響を与えるかを検討し、患者への説明対応を中心として具体的な体制を考えましょう。

(3) 医療体制をどのように検討するか

 具体的には次の点(表)について検討していきますが、そのポイントは「自分が目指す診療所はどのようなものか」に立ち返って考えることです。言い換えれば、「自分が目指す診療所」を明確にしておくことが前提となります。



(4) 不動産の形態をどうするか

 不動産を、賃借りか所有か、自宅兼用か分離か、などを検討します。

(5) 医療法人化をどうするか

 医療法人も診療所の経営者となることができます。医療法人の設立には都道府県知事の承認が必要ですが、従来は都道府県の側でも数年の経営実績を必要としていました。最近は経営計画が確実であれば、診療所の開設と同時に医療法人の設立を承認するという方針の都道府県がではじめています。
 通常は、個人で開業後数年を経過した後の状況により、税金面を中心として自分にメリットがあるかどうかを検討することとなりますが、例外的に「診療所の開設当初から医療法人で運営したい」場合にも可能性が出てきたわけです。

(まとめ:三和護、医療局編集委員)

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