2006.01.11

海馬・扁桃体の容積が少ない高齢者は認知症の発症リスクが高い

 アルツハイマー病や軽度認知障害(MCI)の患者の脳では、海馬と扁桃体に萎縮が見られることが知られている。オランダErasmus Medical CenterのTom den Heijer氏らは、認知症を発症した高齢者の海馬と扁桃体の容積が、発症以前に減少していることを明らかにした。これを指標にすれば、発症の少なくとも6年前にハイリスク者を選別できる可能性があるという。詳細は、Archives of General Psychiatry誌2006年1月号に報告された。

 Heijer氏らは、認知症でない60〜90歳の511人を対象とし、MRIにより海馬と扁桃体の容積を測定し、記憶力と認知能力の検査を実施した。

 1人あたり平均6年間追跡したところ、35人が認知症を発症、うち26人がアルツハイマー病と診断された。ベースラインで、海馬や扁桃体の萎縮が顕著だった人々は、認知症またはアルツハイマー病を発症しやすかった。発症率は、海馬に萎縮がなかったグループでは1000人-年あたり4.8だったが、深刻な萎縮があったグループでは1000人-年あたり21.6だった。年齢、性別、学歴で調整したハザード比は、海馬の体積1SD減少あたり3.0(95%信頼区間2.0-4.6)となった。

 扁桃体の場合には、萎縮がなかったグループの発症率は1000人-年あたり2.9、萎縮が深刻だった人の発症率は1000人-年あたり19.4。1SD減少あたりのハザード比は2.1(1.5-2.9)となった。

 6年後まで認知症を発症しなかった人と比べると、2〜3年後に認知症と診断された人の海馬・扁桃体の容積は約17%少なく、6年後に診断された人々でも約5%少なかった。ベースラインの体積が少ないほど、認知症発症が早かった。

 認知症の予防や治療は早期に開始するほど有利なので、いち早く発症を予測できる指標が求められている。少なくとも6年前にハイリスク者を選別できる海馬・扁桃体の容積測定の有効性は高いと言ってよい。

 本論文の原題は「Use of Hippocampal and Amygdalar Volumes on Magnetic Resonance Imaging to Predict Dementia in Cognitively Intact Elderly People」。アブストラクトは、こちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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