2006.01.10

ベータカロチン、ビタミンCとE、亜鉛を食事でたっぷりとれば加齢黄斑変性リスクが35%減少する

 加齢黄斑変性(AMD)は、先進国における中途失明の最大の原因だ。病態生理学的な理解は進んでいないが、加齢が関係する他の病気と同様、AMDの発症にも酸化ストレスが関わると考えられている。オランダErasmus Medical CentreのRedmer van Leeuwen氏らは、集団ベースのコホート研究を行い、日常の食事から抗酸化作用のある4つの栄養素を平均より多めに摂取すれば、AMDリスクが35%減少することを示した。詳細は、Journal of American Medical Association(JAMA)誌2005年12月27日号に報告された。

 既にサプリメントでベータカロチン、ビタミンCとE、亜鉛を投与すると、長期のAMDの進行が抑制されることを示す結果が、無作為割付比較対照試験AREDSで得られている。そこで著者たちは、通常の食事におけるこれらの物質の定期的な摂取が、AMD発症リスクに影響するかどうかを調べた。

 オランダRotterdamの郊外に住む55歳以上の男女で、両眼ともAMDではないが発症リスクを有する5836人を対象に、1990〜1993年に食物摂取頻度の調査を実施、2004年まで追跡した。

 摂取した食物のデータに基づいて総摂取熱量を求め、その値で調整した抗酸化栄養素の1日あたりの摂取量を計算。調べたのは、カロチノイド(アルファカロチン、ベータカロチン、ベータ・クリプトキサンチン、ルテイン/ゼアキサンチン、リコピン)、ビタミン(A、C、E)、鉄、亜鉛。AREDSの対象となった4栄養素を含むサプリメントを使用していた人は、サプリメント使用者群に分類した。

 平均追跡期間8.0年の間に560人(13.4%)が、眼底検査によりAMDと診断された。摂取量が調べられた栄養素の中で、調整後もAMD発症との逆相関が有意だったのは、ビタミンEと亜鉛。ビタミンE摂取量1SD増加あたりのハザード比は、0.92(95%信頼区間0.84-1.00)。亜鉛では0.91(0.83-0.98)だった。

 今回の対象者が食事で摂取したこれらの栄養素は、AREDS試験で投与された量より明らかに少なかった。にもかかわらず、4つの栄養素のすべてを中央値よりも多く摂取したグループを中央値レベルの摂取だったグループと比較すると、ハザード比は0.65(0.46-0.92)となり、AMDリスクの35%減少が明らかになった。すべてが中央値よりも少なかったグループのハザード比は、1.20(0.92-1.56)だった。サプリメント使用者559人を除いても、ハザード比に影響は及ばなかった。

 この研究は、日常の食事から平均的な量を超える4栄養素を摂取すれば、AMDリスクが減少することを示した。また、サプリメントの影響は小さく、食事からの摂取が大切であることが示唆された。著者たちは、AMDの家族歴があるか、早期AMDと診断された人々にとって、日常の食事に気をつければ発症や進行が抑制できるという情報は有用だ、と述べている。

 なお、日本人の食事からの平均摂取量を本研究の結果と比較すると、ベータカロチンは第3四分位群、ビタミンCは第2四分位群と第3四分位群の中間のレベル、ビタミンEは最低四分位群、亜鉛は第2四分位群に相当する。したがって、AMDの発症と進行を抑制するためには、より積極的な摂取が必要となる。

 本論文の原題は「Dietary Intake of Antioxidants and Risk of Age-Related Macular Degeneration」。アブストラクトはJAMA誌Webサイトのこちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)


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