2006.01.05

心臓手術前後のアミオダロン投与は心房頻拍の予防に有効、カナダの研究

 心臓手術後の合併症として一般的な心房頻拍性不整脈(心房細動と心房粗動)は、アウトカムの悪化とコスト上昇を招く。カナダLibin Cardiovascular Institute of AlbertaのL. Brent Mitchell氏らは、抗不整脈剤アミオダロンを周術期に13日間投与することで、心房頻拍の発生頻度を半減できることを示した。詳細は、Journal of American Medical Association(JAMA)誌2005年12月27日号に報告された。

 持続的な心房頻拍の発生頻度は、冠動脈バイパス術(CAGB)後で約30%、弁置換/修復手術後では約40%、これらを同時に行った場合には約50%といわれている。β遮断薬の予防効果は精力的に評価されたが、禁忌となる患者が少なくないこと、効果が顕著ではなく、入院期間短縮やコストの抑制には影響が認められないことから、よりよい予防策が求められていた。

 これまでに、アミオダロンの予防的投与の効果を調べた小規模な研究が4件行われており、有望が示唆された。しかし、効果は小さく、また、一致した結果は得られていない。

 そこで著者たちは、周術期のアミオダロン短期経口投与が、すべての患者、および、重要なサブグループに対する心房頻拍予防策として、有効、安全かを調べる二重盲検の無作為割付比較対照試験「PAPABEAR」を実施した。対象は、1999年2月1日から2003年9月26日までの間に、3次医療センターで緊急ではない冠動脈バイパス術(CABG)と弁置換/修復手術をうけることになった601人の患者。追跡は1年間行われた。

 アミオダロン(10mg/kg/日)または偽薬を術前6日間と術後6日間(手術日を含む計13日間)投与。手術によって誘発される、5分以上継続する心房頻拍の、術後6日目までの発生率を比較した。年齢、手術のタイプ、周術期のβ遮断薬の使用の有無を指標として患者を分類、サブグループ分析も行った。

 全体で137人が術後の心房頻拍を経験した。心房細動は128人(93.4%)、心房粗動は9人(6.6%)。アミオダロン群の心房頻拍発生率は、偽薬投与群より低かった(48人/299人、16.1%と、89人/302人、29.5%)。ハザード比(HR)は0.52(95%信頼区間0.34-0.69)。

 65歳未満の患者では19人(11.2%)と36人(21.1%)でHR 0.51(0.28-0.94)。65歳以上では28人(27.1%)と54人(41.2%)で、HR 0.45(0.27-0.75)だった。

 CAGBのみを受けた患者では22人(11.3%)と46人(23.6%)、HR 0.45(0.26-0.79)。弁置換/修復手術をCABGとともに、または単独で受けた患者では、25人(23.8%)と44人(44.1%)で、HR 0.51(0.31-0.84)だった。

周術期にベータ遮断薬の投与を受けた患者では27人(15.3%)と42人(25.0%)でHR 0.58(0.34-0.99)。ベータ遮断薬が投与されなかった患者では20人(16.3%)と48人(35.8%)、HR 0.40(0.22-0.71)になった。術後の持続的な心室頻拍の発生頻度も、アミオダロン群で低かった(1人/299人、0.3%と、8人/302人、2.6%、P=0.04)。

 盲検における用量削減または脱落は、アミオダロン群で多かった(34人/299人,11.4%と、16人/302人,5.3%、P=0.008)。術後の入院期間の平均は、アミオダロン群の方が短い傾向が認められたが、差は有意ではなかった(8.2日と8.9日、P=0.11)。また、術後の深刻な合併症、院内死亡、退院後6カ月以内の再入院の発生頻度と、1年間の死亡率には、アミオダロン群と偽薬群の間に有意差はなかった。

 得られた結果は、アミオダロンの周術期経口投与は、心房頻拍の予防において有効で安全であることを示した。また、アミオダロンは、心室頻拍の抑制、入院期間短縮にも有効である可能性が示唆された。副作用がほとんど見られなかったことから、今回の方法は、多様なセッティングの心臓手術に広く適用できる可能性がある。

 本論文の原題は、「Prophylactic Oral Amiodarone for the Prevention of Arrhythmias That Begin Early After Revascularization, Valve Replacement, or Repair」。アブストラクトはJAMA誌Webサイトのこちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)


■ 関連トピックス ■
◆2005.10.12 サノフィ・アベンティス、塩酸アミオダロンの国内製造販売承認を承継
◆2002.6.10 シンバスタチンとアミオダロンの併用で高率にミオパシー、米で添付文書改訂
◆2001.8.29 欧州心臓学会、心疾患による突然死の予防に関する勧告を発表


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