2005.12.02

【日本エイズ学会速報】在日ブラジル人学校でのグループインタビューから明らかになったこと

 在日ブラジル人学校の生徒を対象にしたフォーカスグループインタビューから、HIV予防、性交渉、コンドーム使用などに対する13〜18歳の生徒の意識が明らかになった。CRIATIVOS-HIV・STD関連支援センターのIwaki Elisa氏が12月1日、セッション「予防介入」で報告した。

 研究グループは、在日ブラジル人学校の生徒の「HIV予防や思春期における性交渉、コンドーム使用」などに対する意識を探り、予防教育の基礎資料を得ることを目的とした。

 2004年11〜12月に、在日ブラジル人学校5校で、それぞれ男女6〜8人の混合グループ(13〜18歳までの生徒で構成。自主的に参加)を対象に、グループインタビューを行った。合計37人の生徒が参加した。

 議論のテーマは研究グループが設定。学校以外でのライフスタイル、「ステディー」と「その場限り」の付き合いの定義、性交渉、コンドーム使用、思春期における妊娠・出産、自らにもっとも浸透しやすいと考えるエイズ予防キャンペーンなどのテーマで、グループ内で議論してもらった。

 議論の内容はすべて録音。終了後に活字化し、設定したテーマごとに、それぞれの発言内容を分析した。その結果、在日ブラジル人学校の生徒の意識で以下のような特徴が明らかになった。

 まず学校以外でのライフスタイルについては、ポルトガル語が通じる場所に限定される傾向がうかがえた。

 思春期における性交渉については、性生活の開始条件として「妊娠した場合の子育てへの責任感の有無」を指摘する声が目立った。同様に、性交渉で重視するのは「避妊」ではなく、「妊娠した場合への対応」であることも分かった。背景要因としては、身近に思春期での妊娠・出産を経験している生徒がほとんどだったことも明らかになった。

 HIV・エイズについては、生徒にとって「遠い存在であり、学校が唯一の話し合いの場である」ことが浮かび上がり、教育現場での積極的な取り組みが重要であることも示唆された。

 また、生徒が考える有効な予防キャンペーンに対しては、「当事者の生の声を聞く方が身近に感じ、本気に考える」の指摘があったほか、「コンドームへの理解を深めるもの」「個々の問題意識を高めるもの」「学校をディスカッションの場として利用する」など、前向きな意見が少なくなかった。

 研究グループは、今回の成果をもとに、在日ブラジル人学校での具体的な予防教育プログラムを計画する意向だ。大人の予想以上に生徒たちの意識は高く、彼らの意向を無視してはHIV・エイズ教育が実を結ばないことを確認できた意義は大である。(三和護、医療局編集委員)

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