2005.11.11

患者団体から 放射線医のセカンドオピニオンを紹介

 がん患者の中には、未だに治療法の選択を医者任せにしてしまう人が多いと思います。しかし、日本では、医学的に根拠のある世界的な標準治療を行っていない病院もありますし、放射線治療で身体機能や臓器を残せるような部位のがんでも、手術を勧められることが多いのが現実です。

 体の機能や命は、欠陥が見つかったとしても、車や電化製品などとは違って修理したり買い換えたりすることはできません。

 私自身、2000年2月に舌がんと診断されて初めて、日本のがん治療が米国に比べて外科治療に偏っており、病院間の格差も大きいことを知りました。私の場合、近所の大病院で当初、放射線の外部照射と抗がん剤で3カ月の入院が必要と言われました。

 しかし、インターネットなどで国内外の文献を読んで調べるうち、放射性物質を封入した針状の物体を患部に刺入する「小線源治療」が国際的な標準治療の1つになっていることが分かり、思い切ってこの治療の第一人者である札幌の先生に連絡を取りました。すぐに小線源治療を受けることができ、再発や後遺症もなく5年半無事に経過しています。

 後で、私が最初に提示された放射線の外部照射と抗がん剤の治療は標準治療ではなく、再発の危険性が高かったことを知り、ぞっとしました。また、日本では舌がんの治療は手術が一般的ですが、もし舌の一部あるいは全部を切除されていたら、話したり食べたりすることも不自由になっていたでしょう。本来は根治できる可能性があるのに、あまり効果が期待できない治療法を試みているうちに根治治療のチャンスを逸する患者がいるのは残念です。そんなことに陥ることがないように、早い段階で、積極的にセカンドオピニオンを受け、自分の人生観に合わせて治療法を選んでいただきたいと思います。

 ただ、どこの病院で誰にセカンドオピニオンを受けたらよいか分からない人は多いと思います。そこで、当会では、会員を対象にセカンドオピニオンの斡旋(有料)を行っています。回答は、放射線治療(腫瘍)医の先生が、基本的にはメールかファクスで行います。診察をしないと適切なアドバイスができないようなケースでは、約40人の協力医のうち、近隣の医師を紹介しています。セカンドオピニオンの回答数はこの1年半で、延べ600件を超えました。

 セカンドオピニオンを放射線治療医に提供してもらっているのには2つの理由があります。1つは、日本ではほとんどの場合、ファーストオピニオンを提供するのは外科医なので、放射線治療医の視点で、機能の温存ができないか、最適な治療は何かを検討することが重要だと考えたからです。2つ目の理由は、放射線治療医は全身のがんの治療を行っているので、どの部位のがんについても適切なアドバイスができるということです。もちろん、がんができた部位によっては手術の方が適しているものもありますから、放射線治療医だからといって必ずしも放射線治療を勧めるわけではありません。

 一方で、日本で立ち遅れている放射線治療の普及啓発も、当会の重要な活動内容です。文部科学省などに放射線治療医の育成と医学生への基礎知識の普及を求めると共に、ほかの患者団体と協力して、がん治療を改善するための要望も行っています。国際的な標準治療が受けられるように、患者自身が声を上げていかなければ、何年たってもより良い治療が受けられるようにはなりません。

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