2005.11.11

患者団体から 患者の声が反映される時代に

 患者会の活動の目的は、主に(1)悩みの共有(癒し)(2)医療関連情報の交換(3)行政や医療機関への要望活動─の3つですが、今のがん医療にはいろいろ問題があり、それを改善するためにも3つ目の要望活動の役割は重要です。同じ病気の人同士で悩みを共有し、情報交換することも大事なことですが、いくらそれで癒されたとしても、欧米では普通に使われている薬が使えない、標準治療が受けたくても受けられないなどという現実があっては、自分も助からないかもしれないのです。

 何か改善したいことがあっても、1人で叫んだり、1つの患者会で要望書を出したところで、なかなか聞いてはもらえませんし物事は動きません。数はパワーです。がんの患者会は国内にたくさんありますが、各患者会が、要望や活動の内容に応じて、賛同できるものには参加する形で、横断的なネットワークを組み、力を合わせることが大切です。こうすることで、がん医療に患者の声が反映されるようになるのです。私たちは2002年に、4つの患者団体を母体にした日本がん患者団体協議会(JCPC)を発足させました。患者会に所属していない人が、個人でJCPCの活動に参加することも可能です。

 患者会の働きかけによって、2004年に厚生労働省に「未承認薬使用問題検討会議」が設置され、いわゆる未承認薬と保険適用外の薬の一部が混合診療で使えるようになるなどの進展がありました。今まで厚労省の課ごとに縦割りだったがん医療の施策を横断的に検討し、情報も一元化する「がん対策推進本部」ができたのも、がん患者の要望によるものです。また、JCPCなど患者団体がまとまって要望を出したこともあって、国立がんセンターに「がん対策情報センター(仮称)」ができることになりました。

 「情報がない」、「薬が使えない」などと不平不満を並べていても何も変わりません。何か問題を感じているのであれば、自分で行動を起こすなり、要望活動に参加していくことが大切だと思います。日本のがん医療に問題点が多いのは、今まで患者が受け身で、声を出してこなかったことにも大きな原因があります。

 もちろん、治療中の人は自分の体を優先してください。治療が一段落したら、本人や家族が「自分の問題は自分達で解決する」という姿勢で、要望活動に参加していただければと思います。

 活動をすることは費用や経済的な点で大変な面もありますが、インターネットの普及で、患者同士や複数の患者会が連絡を取り合ったり、意見を交換したりすることが短時間に、しかも低コストでできるようになりました。「患者のための医療」の推進が大切だということを医療関係者や行政担当者も認識し始めており、患者が医療を動かす土壌は整いつつあります。署名を集めたり、自分の住んでいる地域での会合に出たり、国会議員に賛同を求めるなど、要望活動への参加の仕方は人それぞれでよいのです。

 「いつか変われば」と待っているだけでは、ずっと変わらないままです。がん医療の改革を求めることは、自分や家族がよりよい治療を受けるためでもあります。まずは、患者会のメーリングリストに登録して意見を書いてみるなど、自分ができることから、参加してみればいいでしょう。

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