2005.11.08

放射線治療とは 臓器の機能を損なわず治す

 放射線治療は、放射性物質から出るγ線や大型の加速器により人工的に作り出したX線などを照射することによって、がん細胞に損傷を与え、最終的にがん細胞を死滅させる治療法です。特に、放射線に反応しやすいがんや、形態や機能が損なわれるとその後の生活に影響が出る部位のがん治療にはより有効性を発揮します。

 進行度にもよりますが、舌がんや咽喉頭がんなどの頭頸部がんや食道がん、子宮頸がん、前立腺がんなどは、従来第一選択とされていた手術と同程度の治療成績を得ることができます。また最近は、放射線と抗がん剤を併用した治療で、進行した肺がんや食道がんの治癒率が向上しています。

 放射線治療のメリットは、照射後がんが消えれば治る可能性が高いこと、臓器の機能や形態が残ることです。がんが治って、機能や形態も温存されるのであれば、それに越したことはないはずですが、日本では、放射線治療医が少なく、外科医や内科医が患者さんを診察して治療法の選択肢を提示するので、本来は放射線治療が第一選択になってもよい場合でも十分に活用されていません。

 たとえば、子宮頸がんは、世界的にも放射線治療が標準治療になっており、米国では80%が放射線治療ですが、日本では逆に80%の人が手術治療を受けています。手術を受けてしまってから「放射線治療で治るのだったら手術は受けなかったのに」などと後悔しないためには、初めから常勤の放射線治療医のいる病院を受診することをお薦めします。

 また、放射線治療のもう1つのメリットは、体への負担が比較的少ないことです。ですから、高齢であったり、ほかに糖尿病や心臓病など重大な合併疾患があって手術が受けられない人の治療としても利用されています。骨や脳など全身へがんが転移した人の痛みや症状を緩和する治療としても有効です。

 ただし、この治療にはデメリットもあって、根治治療として大量に放射線をかけた場合、照射部分が赤くただれて痛んだり、腹部への照射では下痢を起こす人もいます。また、まれではありますが、治療後半年から10年以上経って、照射部分の血流が悪くなる、いわゆる「晩期障害」が起こることもあります。

 そういった障害を減らすため、最近では、正常組織には放射線をほとんど当てずに、腫瘍のある部分に多方向から集中的に照射する定位放射線治療(ピンポイント照射)ができるようになってきました。さらに、X線の強度を細かく変えられるIMRT(強度変調放射線治療)を行う施設も出てきています。

 放射線治療は、臓器や正常組織に障害が出ないようにしながら効果が最大限に出るようにするさじ加減が大事ですが、適切な治療を行える放射線治療医と機器が揃っている病院は限られています。従って、特に根治治療を目的とするのであれば、専門医が常勤し、治療機器の精度管理もしっかりとしている専門施設で受けた方がよいでしょう。専門医(認定医)や施設に関する情報は、日本放射線腫瘍学会のホームページで見ることができます。放射線治療計画ガイドラインも参考に、タイミングを逸することなく、適切な治療を受けるようにしてください。

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