2005.11.08

早期中止された臨床試験の解釈は慎重に、成績が過大評価される場合あり――系統的レビューで判明

 明白な利益が示され、予定より早く中止された無作為割付比較対照試験(RCT)は、しばしば大きな注目を集め、臨床現場にも影響を与える。しかし、RCTが早期中止される頻度や、早期中止の妥当性、得られる結果の信用性などは、ほとんど評価されていない。カナダMcMaster大学のVictor M. Montori氏らは、早期中止されたRCTに関する論文の質を評価する系統的レビューを実施した。対象となった143件のうち、重要な4条件をすべて満たしていたのは8件のみだった。詳細は、Journal of American Medical Association(JAMA)誌2005年11月1日号に報告された。

 著者たちは、2004年11月までに文献データベースに登録された論文の中から、早期中止されたRCTに関する報告143件を選び、介入のタイプ、エンドポイント、治療効果、追跡期間、予定された被験者数、実際に対象となった被験者数、早期中止におけるデータ・安全性監視委員会(DSMB)の役割など12項目について検討した。さらに、方法論的な質を示す記述や、資金調達に関する報告についても調べた。

 143件のうち6割以上の92件が、影響力の大きい5誌(Lancet、NEJM、JAMA、Annals of Internal Medicine、BMJ)に報告されていた。特に、業界から資金を得た、心臓病、がん、HIV感染およびエイズに対する治療薬の臨床試験の場合に、その傾向は強かった。5誌に報告されたRCTの中に占める早期中止RCTの割合は、1990〜1994年には0.5%だったが2000〜2004年には1.2%に増加していた(傾向のp値<0.001)。

 全RCTの平均では、当初予定されていた被験者数(平均400人、四分位範囲148-1100)の63%が登録され、13カ月間(四分位範囲3-25)追跡、中間解析1回、早期中止に至ったエンドポイントを経験(イベント)した患者が66人(四分位範囲23-195)になった時点で、試験は中止されていた。99件(69%)でデータ・安全性監視委員会が存在し、85件でDSMBが試験中止を勧告していた。

 中間解析の予定回数が記載されていたのは91件(64%)。33件が1回、25件が2回、それ以上は31件、2件は予定なしだった。55件は初回の解析後、29件は2回目の後、19件は3回以上の中間解析の後に試験を中止していた。約3分の1に相当する48件で、試験監視のための統計学的アプローチの適用がなかったか、それに関する記述がなかった。

 方法論的に重要な4条件、すなわち、予定されていた被験者数、早期中止のきっかけとなった中間解析の説明、早期中止の決断に用いたルール、効果に関する調整済み推定値のすべてを記述していた報告は8件のみだった。

 67件が効果の推定値を報告していた。著者たちが、アウトカムが二分変数だった126件についてリスク比を算出したところ、0.53(四分位範囲0.28-0.66)となった。発生したイベントの件数が少ない試験ほど、推定された治療効果は大きく、少ないイベント数と、効果の過大評価の間には、非常に強い関係が見いだされた(オッズ比28、95%信頼区間11-73)。

 明白な利益が示されたとして、臨床試験が早期に中止される頻度は増加している。早期中止は、新薬の早期承認と流通のきっかけになる可能性がある。が、そうしたRCTsに関する報告はしばしば、必要な情報を適切に記述していないうえ、特にイベント数が少ない場合に、効果が過大評価されていることが明らかになった。著者たちは、データ解釈は懐疑的な視点からに行うべきで、それにより、臨床現場の混乱を最小限に抑えねばならないと述べている。

 本論文の原題は「Randomized Trials Stopped Early for Benefit」。アブストラクトはJAMA誌Webサイトのこちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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