2005.10.05

がんの化学(薬物)療法 効果と副作用を知って選ぶ

 薬を使ったがんの治療法には、(1)がんを殺すことを目的とした「抗がん剤治療」(2)がんの増殖や転移などに関わる特定の分子を狙ってがんの増殖を抑制する「分子標的薬治療」(3)乳がん、前立腺がんなどホルモンにより増殖が左右されるがんに対する「ホルモン治療」などがあり、これらを化学(薬物)療法と呼ぶのが一般的です。

 がんの化学療法が行なわれるのは、1つ目は、進行してがんが全身に広がって、手術や放射線治療など局所療法では手に負えず全身への治療が必要になったときです。もともと“全身病”である白血病や悪性リンパ腫には化学療法が第一選択になります。2つ目は、局所進行がんといわれる状態で、放射線治療だけに比べ、抗がん剤治療と放射線治療を組み合わせて行なうと治癒率が上がるというときです。3つ目は、手術しても患者のすべてが治るわけではない場合に、治療効果を上げるため、手術に併用して行なう場合です。

 以前は、抗がん剤治療というと、末期の患者さんに行なうというイメージが強かったかもしれませんが、最近では、放射線や手術に抗がん剤やホルモン剤あるいは分子標的薬、抗体医薬を併用することで、治るケースも増えてきました。しかし、上の図にあるように、風邪や腹痛のときに飲む一般薬と大きく異なるのは、副作用が出る量まで投与しないと効果も出ないため、副作用がほとんどの場合に避けられないことです。ところが、抗がん剤が縮小をもたらしうるのは、対象となった患者の一部に限られています。その人に抗がん剤が効くかどうか事前に分かればよいのですが、現在のところ、効き目を確かめるのに有効な手段はありません。

 ですから、薬物治療を受けるときには、自分のがんに対する抗がん剤の効果と副作用について十分な説明を受け、自分にとってその治療を受けるメリットがあるのか吟味する必要があります。その際、注意してほしいのは、「がんが小さくなる」と「治る」は違うということです。「がんをたたいて根治させるため」の治療なのか、「がんを治すのではなく小さくして生存期間を伸ばしたり症状を取ったりするため」の治療なのか、正しく理解して治療を受けるかどうか自分で判断しましょう。決めかねるときにはセカンドオピニオンなどを聞かれてもよいと思います。何より大事なことは、治療を受けるかどうか患者さん本人が自分で決めることです。

 一方、化学療法を受けると決まったら、吐き気や嘔吐などの副作用をコントロールしつつ、効果があると分かっている量をきちんと投与してがんを叩くことが大切です。副作用はかなりコントロールできるようになりましたが、医師の技量によって差があるところです。がんを治療している医師だからといって化学療法にも詳しいとは限りません。できるだけ化学療法専門の医師の治療を受けましょう。来年4月には、化学療法の専門家として日本臨床腫瘍学会(http://jsmo.umin.jp/)が認定する「がん薬物療法専門医」が誕生します。確かな情報を集めて、適切な治療を受けるようにしてください。

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