2005.10.05

患者の権利を知る 良質な医療を求めましょう

 医療における患者の権利の基本はインフォームド・コンセント(説明の上の同意)。つまり、自分の病状と治療方法、治療にかかる費用について十分説明を受け、納得した上で治療を受けることです。日本では、15年くらい前に、このインフォームド・コンセントという言葉が使われ始めましたが、その頃は、自分のカルテはもちろん、病名や検査、薬、処置、手術などの単価まで記載した医療費の詳しい明細書である「レセプト(診療報酬明細書)」も、患者が見る権利は保障されていませんでした。ですから、医師が嘘の説明をしても分からない状況だったのです。

 米国では、1973年に米国病院協会が患者権利章典を出し、「患者は、自分の診断、治療、予後(治る見込み)について完全な新しい情報を、自分に十分理解できる言葉で伝えられる権利がある」「患者は、どこが医療費を支払うにしても請求書を点検し説明を受ける権利がある」など、情報開示と人格を尊重した治療を受ける権利が保障されたのです。日本でも東京都立病院や日本生活共同組合連合会医療部会が、患者の権利章典を制定しています。

 信頼できる医療が広く提供されていたならば権利章典はいらないでしょうが、現実には信じられないことがたくさん起きています。つい最近まで、患者には本当のことが知らされないのが普通で、がんと知らされず亡くなっていった方も大勢います。不要な検査や薬の投与など、収入や利益の確保のための診療行為も行われているのが実情で、医療費の不正請求も存在しています。

 日本では、医療事故で子供を失った被害者たちが中心となり、カルテやレセプトの開示を求める運動を展開してきました。自分の裁判のためではなく、医療事故を繰り返さないでほしいという思いからです。カルテとレセプトの開示はオセロゲームの角石のようなもので、この2つの権利が保障されて白になれば、その内側に挟まれたインフォームド・コンセントも白になる(十分に行われる)のです。1997年にレセプト開示が認められ、今年4月の個人情報保護法施行によってカルテ開示の権利も保障されるようになりました。この2つの権利が保障されたことで、やっと嘘のないインフォームド・コンセントが受けられる素地が整ったのです。

 「何かおかしい」と思ったら、カルテを閲覧したりコピーを受け取ったり、レセプトの開示を受けたりすることができます。患者が亡くなった後、遺族がカルテ開示を求めることも可能です。カルテは医師に直接申し出るか、病院の窓口で申し込めば見ることができますし、レセプトは、自分の入っている公的医療保険の窓口で開示請求をすれば、300円程度の手数料で入手できます。政府管掌健康保険の人は社会保険事務所、国民健康保険の人は自治体がレセプト請求の窓口です。

 患者は自分の病状、治療に関する情報を得て、セカンドオピニオンを受け、自分で病院や治療法を選ぶ権利があります。必要に応じてカルテやレセプトの開示を利用して、不本意な治療を受けないようにしてください。

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