2005.10.05

多職種によるチーム医療 総力戦でケアする時代に

 わが国のがん治療をリードするような病院でも、以前は、最初にどこの科に行ったかで、どういう治療をするかが決まる傾向がありました。同じ病院の中でも外科に行ったら手術、放射線科に行けば放射線治療など、その患者さんにとって最善の治療か疑問に思うこともありました。

 しかし、「がん治療の標準化」あるいは「均てん化(どこでも高い医療の質を提供すること)」が言われるようになって、どこに住んでいても、病状、進行度に合わせてその時点でベストな治療を受ける権利が患者さんにはあると、多くの医療提供者が認識するようになりました。それと共に、個人商店のように各科がバラバラに治療を提供していた時代から、様々な専門分野の医師が連携して治療法を選択し、チームで治療に当たる時代に変わってきています。

 患者さんの中には、がんの告知や進行によって精神的なダメージを受けたり、高齢者であるため病変の治療以外に様々なケアが必要な方がたくさんいらっしゃいます。医師による治療だけではなく看護師、臨床心理士、ソーシャルワーカーらによる精神的なケアや生活面でのサポートが非常に重要です。また、食事指導や薬の管理も大切です。手術後に肺炎などの合併症を起こす危険性を減らすための術前トレーニング、手術後のリハビリが必要な人もいます。

 そういった全人的なケアと、がんという病気自体の経過に合わせた最善な治療を受けるためには、患者さんを中心に、各科の医師、看護師、薬剤師、栄養士、リハビリ部門、ソーシャルワーカーといった様々な職種がチームを組むことが必要です。静岡がんセンターでは、2002年の開院当初からこの「多職種チーム医療」を展開しています。

 多職種チーム医療のメリットは、いろいろな診療科の医師がベストを尽くしてがんという病気を治そうとすることはもちろん、精神的なケアや生活面でのサポートを含めた医療が受けられることです。治療法を選ぶ際、ほかに選択肢があったのに知らされない、一人で思い悩んで精神的なサポートが受けられないということはほとんどなくなるはずです。

多職種チーム医療のイメージ

 一方で、一人の主治医に何もかも任せるという従来の医療に慣れている患者さんは、「私の先生」がいないことや、看護師を中心にサポート体制を組むこともある多職種チーム医療に違和感を覚えるかもしれません。また、チーム医療では、責任の所在があいまいになる危険性もあります。

 少なくとも、全国がん(成人病)センター連絡協議会加盟施設や地域がん診療拠点病院では、さまざまな専門性を有する医師が科を越えて連携するチーム医療が受けられると思います。ただ、精神的なケアまで含めた多職種チーム医療を行なっている病院はまだそれほど多くはありません。現実的には、進行がんの人は、1つの医療機関だけではなく、幾つかの病院の医師や看護師、栄養士などによるチームで診てもらうことになるかもしれません。具合の悪い患者さんには大変なことだと思いますが、セカンドオピニオンを受けることで最善の治療を選択し、結果的に幾つかの医療機関によるチームが組まれる場合もあるでしょう。

 がんの治療は、1人の医師に任せておけばベストな治療が受けられるものではありません。患者さんも医師への“お任せ医療”を求めるのでなく、チームの一員として前向きに治療に取り組むようにしてください。

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