2005.10.05

患者向け図書室 使いこなせば強い味方に

 自分の病気や治療法を理解するうえで、医師からの説明以外に、一般向けあるいは医師向けに書かれた本や雑誌の記事は非常に役立ちます。また、がんであることを告げられ、どう気持ちを整理していいか分からないとき、闘病記を読んで救われたという方は少なくありません。

 ただ、書店や公共図書館に置かれている医療関係の本は限られています。そこで、患者さんが必要とするであろう情報を収集し、院内に患者向け図書室を設置するところが増えてきました。いいなステーションの調査では、2005年8月現在、こうした図書室が全国57病院にあります。

 病院内での患者さんへの学習の場の提供は、1997年、京都南病院(京都市)で始まりました。当時、職員のための図書室を地域住民にも開放したのですが、その取り組みが徐々に全国へ広がっていった経緯があります。

 患者向け図書室のタイプとしては主に、(1)職員向け図書室を患者に開放した(2)職員向けのものとは別に、新たに患者向け図書室を開設した(3)専用の部屋はなく、時間・曜日を決めて仮設の図書コーナーを設置の3種類あります。

 かつて総合病院には職員向け図書室の設置が義務付けられていましたから、がんの治療を行なう大病院のほとんどにはスタッフのための図書室があります。しかし、職員向け図書室は、関係者以外の立ち入りを禁ずる管理棟にあることも多く、安全管理や防犯上の理由から患者さんは入れないところがほとんどです。実際には、(2)(3)のタイプで、運営はボランティアに支えられているケースが多いようです。

 最近では、看護師や医学専門司書を配属し、より充実したサービスを提供するところも出てきました。例えば、様々な疾患の患者会の会報誌を置いている東京女子医科大学病院の「からだ情報館」、専任司書と看護師を置き、本選びの相談に乗るほか、ベッドサイドの端末からも本の検索ができる静岡県立静岡がんセンターの「あすなろ図書館」などがその一例です。

 図書室を利用する際、気をつけていただきたいことは、主治医の説明以外の選択肢が本や雑誌に書かれている場合があるかもしれませんが、本に書かれていることが必ずしも新しく正確というわけではないことです。書籍によっては健康食品や代替療法の広告のためと思われる本もあります。情報を得たことによって迷ったり戸惑うこともあるかと思いますが、そういう場合には、遠慮せずに主治医や院内の相談窓口などで相談しましょう。また、闘病記は、がんを乗り越え共に生きるための心の支えになるものですが、場合によっては医学的には誤った内容や現在では行なわれていない古い治療法について書かれていることもあるので、その点は注意しましょう。

患者向け図書室のある主な病院

 自分のかかっている病院に患者向け図書室がない場合には、近くの病院の図書室が利用できないか確認してみてください。一般の方が利用できる国公立大学の医学部、看護学部の図書館で、医師や看護師向けの本を閲覧しさらに詳しいがん情報を得る手もあります。がん治療は情報集めが勝負ですから、ぜひ、医療情報が充実している図書室をフル活用していただきたいと思います。

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