2005.10.05

γGTPが高いと心血管死亡リスクが上昇する、オーストリアの研究

 ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT、γGTPの名称の方が認知度が高い)は、肝機能および飲酒の指標としてよく知られている。オーストリアInnsbruck医科大学のElfriede Ruttmann氏らは、GGTと心血管疾患(CVD)による死亡との関係を、16万人超の集団を対象に調べた。その結果、GGT値の上昇に伴ってCVD死のリスクが上昇すること、したがってGGT値はCVD死の独立した予測因子として有用であることを示した。詳細は、Circulation誌電子版に2005年9月26日に報告された。

 近年、血清GGT値と、心筋梗塞や心臓死のリスクの関係が示されている。先頃、脳卒中との関係も報告された。が、いずれも小規模研究だったため、Ruttmann氏らは、世界最大規模の集団ベースの危険因子監視研究である、Vorarlberg健康モニタリング・増進プログラム(VHM&PP)のデータを利用し、GGTとCVD死の関係を評価した。

 オーストリア西部のVorarlberg地域で進行中のVHM&PPは、1985年以来、16万6547人のデータを登録してきた。今回はその中から、GGT値が記録されていた16万3944人(男性7万4830人、女性8万9114人)を選出した。登録時の平均年齢は男性41.8歳、女性42.0歳。追跡期間は最高17年間で、中央値は男性11.1年、女性12年。2001年末までに6990人が死亡、うち3026人(43.3%)が心血管関連死だった。

 GGTは男女差が大きいため、正常低値、正常高値、軽度上昇、上昇、高値の範囲を別々に設定。男性の場合14U/L未満、14-27U/L、28-41U/L、42-55U/L、56U/L以上、女性は9U/L、9-17U/L、18-26U/L、27-35U/L 、36U/L以上とした。軽度上昇以上の人の割合は、男性21.9%、女性15.6%だった。

 男女ともにGGT値と既知のCVD危険因子(トリグリセリド、尿酸、BMI、総コレステロール、血圧、HDLコレステロール、血糖、飲酒、運動、喫煙など)との間に有意な相関が見られた。

 コックス比例ハザード・モデルを用いて分析したところ、既知の危険因子で調整後も、男女ともに、GGT高値とCVD死の間に有意な関係(p<0.001)が認められた。GGTが上昇するにつれてCVD死は増加した。正常低値と比較したハザード比は、GGT値の段階が上がるごとに、男性で1.17(95%信頼区間1.02-1.33)、1.28(1.08-1.53)、1.39(1.09-1.78)、1.64(1.35-2.0)、女性で1.04(0.88-1.22)、1.35(1.11-1.64)、1.46(1.14-1.88)、1.51(1.21-1.89)と上昇した。

 サブグループ分析において、GGT高値は、慢性冠動脈疾患の致死的イベント、鬱血性心不全、出血性脳卒中、虚血性脳卒中、急性および亜急性の冠動脈疾患と有意に関係していた(男性の急性/亜急性冠動脈疾患、女性の出血性/虚血性脳卒中を除く)。60歳未満と60歳以上に2分した場合には、若い集団の方がGGT値とCVD死の関係が強かった。

 あらゆるCVDによる死の予測におけるGGTの感度と特異性をROC解析により評価すると、カットオフ値を男性15.5U/L、女性10.5U/Lとすると、感度は、男性66%、女性74%になった。曲線下面積は女性の方が有意に大きく(男性0.60、女性0.71)、GGTとCVD死の関係は女性でより強力が示された。

 通常、GGTの上昇は飲酒と関連づけられる。一方で、適度な飲酒はCVDリスクを減らすといわれる。著者たちも、飲酒との関係を調べようとしたが、明白な結果は得られなかった。しかし、GGTがアテローム性動脈硬化の病態に役割を果たすという報告もあり、CVD死との間に強力な関係は、ここに由来する可能性がある。

 この研究で軽度上昇とされた値は、肝機能検査においては正常域に入る。血液検査の結果の見方を変える可能性がある今回の知見を確認する研究が、速やかに行われることを望む。

 本論文の原題は「Gamma-Glutamyltransferase as a Risk Factor for Cardiovascular Disease Mortality. An Epidemiological Investigation in a Cohort of 163 944 Austrian Adults」、アブストラクトはCirculation誌Webサイトのこちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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