2005.09.22

【日本心臓病学会速報】 冠動脈疾患に起因する超高齢者の急性心不全は院内死亡率が高い

 80歳以上の超高齢者では、冠動脈疾患に起因する急性心不全で院内死亡率が高いことが分かった。全国済生会多施設研究により明らかになったもので、東京都済生会中央病院の国広崇氏らが、9月20日のポスターセッションで発表した。

 全国済生会多施設研究(SAFE;Saiseikai Acute heart Failure in the Elderly trial)は、わが国の超高齢者急性心不全の実態と院内予後などを検討したもの。2003年6月から2004年12月までに、全国の済生会病院に急性心不全で入院した518例を対象とし、80歳以上の超高齢者群(208例)と60歳以上79歳以下の壮高齢者群(310例)に分けて比較検討した。

 両群の背景因子の比較によると、壮高齢者群では男性62%で超高齢者群の33%より多かった(p<0.0001)。BMIは23.4±0.3 vs 21.3±0.4で壮高齢者群で高く(p<0.0001)、現喫煙(25% vs 9%)、糖尿病の合併(43% vs 26%)でも壮高齢者群の方が高かった(それぞれp<0.0001)。

 一方、日常生活に制限があるのは、超高齢者群が71%だったのに対して壮高齢者群では25%、また認知症ありは超高齢者群が57%に対し、壮高齢者群は15%だった(p<0.0001)。このほか、入院後のせん妄も、超高齢者群で高かった(22% vs 9%、p=0.001)。

 心不全の重症度、不整脈、心電図所見などには、急性期の選択的冠動脈造影(CAG)施行が21% vs 8%と壮高齢者群の方が高かった以外は、両群で差が見られなかった。

 心不全の原疾患については、超高齢者群でもっとも多かったのは冠動脈疾患(35%)で、弁膜症(25%)、不整脈(19%)、心筋症(11%)、高血圧(10%)の順だった。一方、壮高齢者群では、それぞれ45%、15%、10%、21%、6%で、超高齢者群では壮高齢者群に比べて不整脈が多く、冠動脈疾患が少ないという特徴があった。

 院内死亡率は、壮高齢者群の8.7%に対して超高齢者群13.9%で、有意差はなかったが、超高齢者群に高い傾向があった。注目すべきは原疾患別の死亡率で、冠動脈疾患に起因する急性心不全による院内死亡率は、超高齢者群で明らかに高率だった(17% vs 5%、p=0.008)。

 超高齢者群では、冠動脈疾患に起因する急性心不全による院内死亡率が高かったことから、研究グループは「超高齢者の心不全例では、冠動脈疾患の同定およびその管理が極めて重要である」と結論づけていた。(三和護、医療局編集委員)

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