2005.09.22

Satellite Symposium  CIBIS IIIの結果を読む

 欧州心臓病学会(ESC)において、CIBIS IIIの結果が発表された翌日、現地ストックホルムにて「CIBIS III;is it time to challenge current treatment recommendations for chronic heart failure」と題したサテライトシンポジウムが開催された。

 パネルディスカッションでは、CIBIS IIIの報告者であるRonnie Willenheimer氏(University Hospital Malmo、スウェーデン)らにより、本試験から得られた様々な知見が今後の慢性心不全治療においてどのように反映されていくのか、興味深い質疑応答が行われたので紹介する。

Q:ビソプロロール先行群で死亡抑制効果が強い傾向が認められているが、突然死は減少したのか。

A:詳細な死因に関しては現在解析中である。
ただし、単剤治療終了の時点ではビソプロロール群でおよそ15%突然死が減少していたという話は耳にしている。

Q:CIBIS IIIで明らかになったのは「慢性心不全例に対しビソプロロール、ACE阻害薬のいずれから開始しても有用性に差はない」という点だけか。

A:もう1点重要なのは、高齢の心不全例においてβ遮断薬の有用性が示された点である。CIBIS IIIの対象患者の平均年齢は72歳であり、US Carvedilol試験の58歳、MEIRT- HFの64歳に比べ非常に高齢である。しかし現実の慢性心不全患者は高齢者であり、そのような患者群においてビソプロロールの有用性が確認されたのは、臨床的にきわめて重要である。

Q:ビソプロロールとACE阻害薬を当初より併用して治療を開始すると問題があるのか。

A:β遮断薬とACE阻害薬を心不全患者において同時に開始すると、副作用発現が増加する可能性がある。
 そのため、いずれか単剤で治療を開始することになる。ただし「どれほどの期間、単剤治療を維持するのがベストか」という点があり、今後の検討課題である。

Q:β遮断薬を先行させるべき患者像は。

A:不整脈、特に心室細動などを伴う例ではβ遮断薬を先行させるべきだろう。また、心肥大例に対してもβ遮断薬を先に服用させるべきだと考えている。冠動脈疾患を有するNYHA分類II度の患者でもβ遮断薬を先行させることになろう。

Q:CIBIS IIIの結果、各国の慢性心不全治療ガイドラインは変更されるべきだと考えているか。

A:もちろんである。これまでガイドラインでは、ACE阻害薬を開始した後にβ遮断薬を追加するよう推奨していた。しかしACE阻害薬を先行させるべきだというエビデンスはない。しかしCIBIS IIIの結果、ビソプロロールを先行させてもACE阻害薬先行と予後改善作用は同等で、死亡抑制効果はむしろビソプロロール先行の方が優れている傾向さえ得られた。したがって臨床に携わるドクターの選択肢を「ACE阻害薬先行」に制限する必要はないと考えるべきであろう。

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