2005.09.20

【日本心臓病学会速報】 初期尿量を目安にしたhANP治療、急性心不全の新たな治療戦略に

 急性心不全の新たな治療戦略として、初期尿量を目安にしたナトリウム利尿ペプチド(hANP)治療法が報告された。それによると、明らかな肺うっ血を認める急性心不全患者の半数がhANP単独治療が可能であり、全体の約85%がhANP単独あるいはフロセミド静注との併用で軽快し、強心薬が不要だった。国立病院大阪医療センターの種池学氏(写真)が9月20日の一般口演で発表した。

 研究グループは、急性心不全治療でのhANP治療の位置づけを明確にするため以下の検討を行った。

 対象は、胸部レントゲン写真上で明らかに肺うっ血を認めた急性心不全患者34例。年齢は75±12歳。男性が19例、女性が15例だった。高血圧が32例、虚血性心疾患が19例、弁膜症が6例、糖尿病が10例に認められた。なお、右心不全優位の急性心不全症例は、他の治療が優先されるため除外した。

 研究グループは今回の検討に先駆けて、hANP投与後1時間から2時間の時間尿量(UV2)の平均値が100ml/時で、UV2が100ml/時以上の症例で管理が容易であったことを確認していた。このためUV2の100ml/時をメルクマールとし、新たな治療戦略を打ち立てた。

 対象とした34例には、まず硝酸薬と酸素供給のみの初期治療を実施。静注用利尿薬を使わずに、hANPを0.025μg/分/kgで治療を開始した。その後、UV2が100ml/時以上の症例ではそのまま単独療法を継続、100ml/時より少ない場合については、hANP投与後2時間目にフロセミド10mgを静注した。以後は、必要に応じてフロセミド静注あるいは強心薬を追加投与した。

 その結果、UV2が100ml/時以上の症例は16例(47%)で、100ml/時未満は18例だった。100ml/時以上の16例は、hANP単独療法で治療ができた。100ml/時未満の18例のうち、13例(全体の38%)はhANPとフロセミド併用群だけで軽快した。残りの5例(全体の15%)は、強心薬の追加が必要だった。

 UV2が100ml/時以上の症例群をHi群(16例)、100ml/時未満群をLo群(18例)とし、臨床上の特徴を検討したところ、Hi群はLo群に比べ、初回急性心不全が多い傾向にあった(75%vs39%、p=0.08)。年齢はHi群が低く(66±13vs82±5歳、p<0.001)、またCCr(Cockcroftの式)が大であった(72±48vs37±14ml/分、p<0.05)。

 これらの結果から種池氏は、「hANPを利尿薬や強心薬に先行して使用するUV2ガイド下でのhANP治療は、急性心不全の病態に即した有用な治療法である」と結論づけた。(三和護、医療局編集委員)

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