2005.09.14

【日本癌学会速報】 癌研と全薬工業、期待のPI3キナーゼ阻害剤の同定に成功 2007年にも臨床試験入り

 財団法人癌研究会と全薬工業の研究グループは、経口で毒性が低く、効果のあるPI3キナーゼ阻害剤ZSTK474の同定に成功した。PI3キナーゼは発がんやがんの生存、増殖、転移などに重要な役割を果たしていることから、抗がん剤の有力な標的とされている。しかし、経口で有望な化合物は今まで報告されていなかった。従来と機構の異なる全く新しい抗がん剤になる可能性があるという。

 研究成果は、癌化学療法センター分子薬理部長の矢守隆夫氏と全薬工業中央研究所薬理研究部薬効薬理研究室主任研究員の矢口信一氏らが、9月14日に札幌市で開催された日本癌学会で発表した。今後、患者を対象に、PI3キナーゼの発現量を調べるなどの研究が行われる予定で、2007年にもフェーズ1臨床試験入りする見通しだ。

 研究グループが同定したZSTK474は、最初からPI3キナーゼ阻害剤として探索されたものではない。2000以上のトリアジン誘導体を合成し、細胞ベースのスクリーニングで強い抗がん効果をまず確認して見出した。

 それを39種類のがん細胞株パネルにかけ、どのようながん細胞株に効果を与えるかを調べたところ、PI3キナーゼと同様な効果のパターンが得られたことから、PI3キナーゼ阻害剤である可能性が示された。そして、実際にPI3キナーゼを阻害する効果、PIP3の産生を阻害する効果をin vitroで確認した。

 また、in vitroとin vivoの実験からPI3キナーゼの下流のシグナル伝達経路を阻害することも確認した。コンピュータを用いた分子モデリングによる解析から、ZSTK474がPI3キナーゼのATP結合部位に特異的に配位することが予想された。

 ヌードマウスに結腸がん細胞株を移植したモデルでは、ZSTK474は強い抗腫瘍効果を示した。肺がん細胞株、前立腺がん細胞株などを移植したマウスでも同様な効果を得ることができた。しかも毒性は軽微だったという。(横山勇生)

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