2005.09.12

高リスクがん患者の好中球減少症予防にLVFXは有効・安全、イタリアの研究

 化学療法を受けるがん患者で、好中球減少症リスクの高い症例に対するフルオロキノロン系抗菌薬の予防的投与には、議論がある。ガイドラインはこれを推奨していない。伊Rome La Sapienza大学のGiampaolo Bucaneve氏らは、レボフロキサシン(LVFX)を用いた大規模な無作為割付比較対照試験を実施し、その効果と安全性に加えて、耐性菌の出現を懸念しての予防的投与回避には十分な理由がないことを示す結果を得た。詳細は、New England Journal of Medicine(NEJM)誌2005年9月8日号に報告された。

 イタリアで行われた試験の対象は、化学療法による好中球減少症(1000個/mm3未満)が7日以上持続すると予想された成人がん患者760人。化学療法開始時から、患者が好中球減少症から回復するまでの期間、384人に経口LVFX(500mg/日)、376人に偽薬を投与した。体温が38.5度を超えた、または12時間以内に38度超が2回以上測定された場合と、感染が疑われた場合には、微生物学的培養検査を実施した。また、研究者の判断により経験的抗菌薬投与を実施した。主要エンドポイントは抗菌薬治療が必要な発熱の頻度、2次エンドポイントは、確認された感染症の種類、非経口抗菌薬の使用、生存率、忍容性などとした。予防的投与を除いた抗菌薬のコストも計算した。

 LVFX予防的投与群の65%(375人中243人)、偽薬群の85%(363人中308人)に、発熱が見られた(相対リスク0.76、絶対差-20%、95%信頼区間-26から-14%、P=0.001)。また、LVFX群では、微生物学的に裏付けられた感染(絶対差-17%、95%信頼区間-24から-10、P<0.001)と菌血症(-16%、95%信頼区間-22から-9%、P<0.001)が少なかった。死亡率と忍容性には有意差はなかった。LVFXの効果は、急性白血病と固形がん、リンパ腫の患者の間で同等だった。

 多変量ロジスティック回帰分析を実施したところ、発熱を経験せずに生存する患者は、全患者、急性白血病患者、固形がんリンパ腫患者のいずれにおいても、LVFX群で有意に多かった。副作用の出現頻度に差はなかった。

 死亡は全体で28人(4%)。LVFX群は10人、偽薬群が18人で、有意差はなかった(絶対差-2%、95%信頼区間-5から0.5%、P=0.15)。

 LVFX耐性グラム陰性菌感染は、LVFX群全体の3%(10人)、偽薬群全体の1%(4人)に見られ、有意差は認められなかった。ただし、グラム陰性菌感染者のみに限ると、耐性菌感染者の割合は77%と17%だった。グラム陽性菌感染者についても、LVFX群は91%、偽薬群では64%が耐性菌に感染していた。

 経験的抗菌薬投与の頻度は、LVFX群で低く、患者1人当たりの費用も、LVFX群1953ポンド、偽薬群2841ポンドだった(P<0.001)。

 今回、ハイリスクがん患者の好中球減少症の予防を目的とするLVFX投与は、死亡リスクには影響しないが、発熱その他の感染に関連するアウトカムの予防において有効で、忍容性が高く、コスト効果も高いことが明らかになった。

 著者たちは、耐性菌について、感染の頻度に有意差がなく、耐性菌感染がアウトカムや死亡率に影響しなかった上、耐性は可逆的であるという報告もあることから、耐性菌に対する懸念が予防的投与を避ける理由にはならない、と述べている。また、治療に使用される抗菌薬が減れば、そちらに対する耐性菌の出現率は下がると期待される。予防的投与に関する再評価が必要、と著者たちは主張する。

 本論文の原題は、「Levofloxacin to Prevent Bacterial Infection in Patients with Cancer and Neutropenia」、概要は、こちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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