2005.09.05

 速報 欧州心臓病学会2005  CIBIS III:慢性心不全治療をβ遮断薬から開始してもACE阻害薬での開始と効果および安全性は同等


 9月4日のHotlineセッション1において、University Hospital Malm (スウェーデン)のRonnie Willenheimer氏によりCIBIS IIIの結果が報告された。ACE阻害薬とβ遮断薬併用が標準治療となっている慢性心不全治療において、必ずしもACE阻害薬から治療を開始する必要はなく、β遮断薬から治療を開始することで同等の予後改善効果が得られる可能性が示唆された。

 CIBIS IIIは、ビソプロロール先行群、ACE阻害薬先行群とも試験開始6カ月間は単剤を服用し、6カ月後には両剤を併用するプロトコールである。ACE阻害薬とβ遮断薬を併用する場合、どちらから開始した方が臨床転帰をより改善するかを検討した初めての大規模臨床試験で、会場でも大きな注目を集めた。

 本試験は、1010例(ビソプロロール先行群:505例、ACE阻害薬先行群:505例)の慢性心不全患者(NYHA分類II〜III度)を対象とし、患者背景は平均年齢が72.4歳、男性が68.2%、心不全の病因では虚血が62.4%、高血圧が36.5%であった。左室駆出率の平均は28.8%であり、平均追跡期間1.22年(最大2.1年)であった。
 
 一次エンドポイントである「全死亡+入院」の発生率は、ACE阻害薬先行群に比べビソプロロール先行群で低い傾向が認められ、統計学的には非劣性(non-inferiority)、すなわち同等であることが確認された(図、クリックすると拡大画面が表示されます)。

 二次エンドポイントを比較すると、死亡および入院においてビソプロロール先行群で低い傾向にあった(死亡:ハザード比0.88[95%信頼区間0.63〜1.22]、入院:ハザード比0.95[95%信頼区間0.76〜1.19])。

 また、忍容性・安全性は同等であり、有害事象発現は単剤服用時、併用時のいずれにおいてもビソプロロール先行群とACE阻害薬先行群に有意差はなかった。
 
 これらの結果を受け、Willenheimer氏は「慢性心不全例に対しβ遮断薬で治療を開始しても問題ないことが明らかになった」と結論した。さらに、ビソプロロール群における早期の段階における死亡率減少傾向を指摘し、「ビソプロロールで治療を開始すれば生存者が増える可能性がある」と指摘した。

 いずれにせよ、患者の状態に合わせ、β遮断薬およびACE阻害薬のいずれからでも治療を開始し得るというエビデンスは、患者だけでなく医師にとっても朗報だろう。

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