2005.08.26

ACCとAHA、慢性心不全の改訂ガイドラインを発表

 米国心臓学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)は、2005年8月16日、心不全ガイドラインの改訂版を発表した。新たな慢性心不全ガイドライン「ACC/AHA 2005 Guideline Update for the Diagnosis and Management of Chronic Heart Failure in the Adult」は、早期診断とより適切な治療に重点をおいている。

 2001年版のガイドラインでは、心不全のステージングが大きく変更され、心不全リスクを抱えた患者から末期患者までを4段階に分類した。2005年版の改訂ガイドラインでは、この分類がより重要性を増している。

 これは、以下のようにステージA〜Dに分類するものだ。ステージAとBは、早期心不全の症状は見られない段階だが、リスク因子を持つ「ステージA」、または、心臓の機能や形態に異常がある「ステージB」ために、心疾患発症の危険性が想定される患者が該当する。ステージCは、器質的心疾患があり、息切れなどの心不全症状の経験もある患者。ステージDは、再発性心不全であることが明らかで、心臓移植を含む特別の治療が必要、または、ホスピスのような終末期ケアが適している患者を指す。

 ほぼ、すべての種類の心疾患が心不全に至る可能性を持っている。新ガイドラインは、ステージAの段階で、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患、その他の心血管リスク因子を早期に発見し、適切な治療を行うことで、心不全への進行を阻止する、または遅らせる努力の重要性を強調している。

 今回の改訂の背景には、心不全による入院患者の増加がある。心不全患者のほとんどは高齢者で、心不全の診断と治療にかかる医療費は他のどの疾患より高額だ。人口の高齢化は進んでいる。また、疲れやすいなどの症状が心不全に由来することが、一般の人々に正しく認識されていないという現状も改善の必要がある。

 ガイドライン作成委員会は、治療の選択についても新たな提言を行った。移植が適用にならず、標準治療には反応しない、1年間生存する見込みが50%未満、といった一部の末期患者に対する永久的な治療として、左室補助装置(LVAD)の適用を推奨した。先頃FDAの承認を得たLVADには永久的な使用が認められている。これは、心不全治療が全く新しい段階に入ったことを示す。そのほか、埋め込み型除細動器(ICDs)の適用増も推奨された。

 また、委員会は、心臓専門医の役割に、終末期医療に関する情報の提供を追加した。治療の進歩は生存期間の延長をもたらしたが、末期患者が入退院を繰り返しても生存率の向上には結びつかない。新ガイドラインは、死を迎える患者とその家族を支え、残りの日々をより平穏に過ごすことを可能にするホスピス・ケアを提案するよう推奨している。

 なお、今回のガイドラインでは、鬱血性心不全(CHF)という用語の使用をやめ、心不全(HF)と呼ぶよう提案している。「鬱血性」が削除された理由は、鬱血という症状を全く、またはほとんど示さないが、心臓のポンプ機能の低下は深刻で、疲労と運動不耐性という症状がある患者が存在するためだ。

 新ガイドライン発表に関するリリースは、こちらで閲覧できる。このページから、ガイドライン自体もダウンロード可能だ(PDFファイル)。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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