2005.08.25

ライオン、フッ素の虫歯予防効果を高める新成分を発見 歯表面での滞留量が増え、再石灰化もアップ 

 ライオンオーラル研究所は、歯の表面でフッ素が虫歯予防効果をより発揮するための新材料を開発した。

高分子の「カチオン化セルロース」という成分で、フッ素入りの歯磨き剤に加えると、フッ素が歯の表面に吸着しやすくなり、歯の再石灰化をより促進することを発見した。

 日本で売られている歯磨き剤のほとんどには、虫歯予防の目的でフッ素が含まれている。歯は常に、内部からミネラルが溶け出す「脱灰」と、そのミネラルを再び歯に取り込んで修復する「再石灰化」を繰り返している。脱灰が上回ると虫歯になり、逆に再石灰化が上回ると歯がより強くなる。
 
 フッ素は「再石灰化」を促進して、歯を強くする。虫歯予防の効果を高めるには、このフッ素が歯磨きの後、どれだけ歯の表面に残っているかが重要になる。各メーカーは、フッ素の効果をより高める方法を研究している。
 
 フッ素は口の中ではフッ化イオンとなり、マイナスに荷電している。歯の表面もマイナスだ。同研究所では、「カチオン化セルロース」はプラスに荷電した高分子であることに着目、これがあると歯の表面をコーティングし、フッ素を呼び寄せるのではないかとの仮説を立てて、研究を進めた。
 
 実際に「カチオン化セルロース 環状4級アンモニウム型(以下、環状型)」という成分をフッ素入り歯磨き剤に配合し、人間の口腔内に装着した人工歯を使って試験をしたところ、フッ素の歯面への滞留量が約1.6倍向上することを確認した。
 
 また、人間の歯に人工的に初期虫歯(歯の内部からミネラルが溶け出しているが、まだ孔はあいていない、虫歯の手前の状態)を作り、この成分を配合した歯磨き剤で1日2回、1週間磨いたところ、配合しない場合と比べ、初期虫歯の修復効果が約30%向上した。

 ただし、「カチオン化セルロースがどのように働いて、フッ素の歯の表面の滞留量を増やすかについては、まだ研究中」(ライオン広報室)という。この研究成果は、10月の第54回日本口腔衛生学会総会(東京)で発表する予定という。
 
 カチオン化セルロースは、紙の主成分であるセルロースに複数のカチオン基を結合させた高分子成分。毛髪表面をコーティングして、きしみを防止する成分として、シャンプーやヘアケア剤などに利用されている。
 
 ちなみに、花王は2種類のフッ素化合物を配合し、使用時に混じり合うようにすることで歯の表面へのフッ素の吸着力を高めることを確認、既に製品化している。この技術を用いると、2剤が混じり合い、一剤型ではできないナノ微粒子のフッ化カルシウムが生成されるため、歯の表面へのつきが良くなり、初期虫歯の修復効果がアップするという。(黒住 紗織、日経ヘルス

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