2005.08.25

千葉県がんセンター研究所、神経芽腫の予後予測に利用できるDNAチップの開発に成功 

 千葉県がんセンター研究所所長の中川原章氏、研究員の大平美紀氏らの研究グループは、小児の腹部腫瘍である神経芽腫の予後予測に利用できるDNAチップの開発に成功した。中川原氏のコンサルティングの下で、大手臨床検査受託会社のエスアールエル(SRL)が、開発されたDNAチップを使用した検査を受託している。

 神経芽腫は発症年齢などを指標にして予後予測が行われているが、予測が困難な中間予後群が存在していることが問題となっている。開発されたDNAチップで予後が正確に予測できれば、患者の予後に応じた治療法の選択が可能になる。

 中川原氏らは、まず、神経芽腫から単離した遺伝子を用いて5340スポットから構成されたDNAチップを作製した。このチップを用いて中間予後群40例を含む136症例の遺伝子を解析し、予後との関係を調べた。その結果、関連が強い上位70個の遺伝子の発現を見ることで、予後が予測できるアルゴリズムを開発することに成功した。5340スポットのDNAチップは、診断後2年後の予後を90%、5年後の予後を89%の確率で予測することができた。

 次に実用化を目的に低コスト化を目指して、関連が強い上位200個の遺伝子を載せたミニDNAチップを作製した。ミニDNAチップの予後予測能力を調べたところ、5340個載せたチップと同様に90%の確率で予後を予測することができた。

 さらに、他の施設でも同等の結果が出せるかを確認するために、SRLで別の50検体を用いて評価したところ、予後予測率は90%となり、同等の結果が得られた。

 中川原氏らは、現在、日本の主だった小児がんの研究者を集めてグループスタディを行おうとしている。グループスタディでは、開発したチップによる予後予測を神経芽腫のリスク分類に組み込むことを研究するほか、1万3000個の遺伝子を載せたチップを用いて、新しい治療プロトコールで予後予測のできるシステムの開発を行う計画だ。

 また、中川原氏らは、今までに神経芽腫から1万1000個の遺伝子を単離、約400個の新規遺伝子の同定に成功している。そのうち10個程度について機能解析を進めており、神経変性疾患との関連を見出すなどの成果をあげている。(横山勇生)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 女子マネ死亡…AEDを巡る論争に言いたいこと 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:0
  2. 医師のあこがれ? 「ブラックカード」の魅力 Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」 FBシェア数:0
  3. オペ時の血糖はやはり7%まで下げるべき? シリーズ◎岩岡秀明の糖尿病よろず相談所【藤沼康樹編】 FBシェア数:85
  4. 21歳女性、突然の腹痛の原因は心臓にあった! 医師の知らない?検査の話 FBシェア数:35
  5. 日野原先生からいただいた二つの“謎”の言葉 佐藤綾子氏(ハリウッド大学院大学客員教授)に聞く FBシェア数:31
  6. 潰瘍性大腸炎に初の体外診断薬、その実力は? リポート◎再燃の早期発見に威力、内視鏡検査の頻度を減らす効果も FBシェア数:7
  7. 自分の家で、この子を抱きしめて川の字で寝たい 患者と医師の認識ギャップ考 FBシェア数:128
  8. Q.創閉鎖前のポビドンヨード洗浄は有効? シリーズ◎その手術部位感染対策、合っていますか?(3) FBシェア数:180
  9. 主訴「ちんちん痒い」 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:176
  10. 「説明を尽くしたのに敗訴」のなぜ 特集◎医療訴訟の落とし穴《動向編》 FBシェア数:503