2005.08.07

【日本遺伝子診療学会速報】 α1,4-N-GlcNac糖鎖が新たなピロリ治療薬になる可能性、合成酵素は膵臓がんのマーカーに

 信州大学医学部病理組織学講座教授の中山淳氏らの研究グループは、糖鎖であるα1,4-N-アセチルグルコサミン(α1,4-N-GlcNac)がピロリ菌の新しい治療薬になる可能性を見出した。また、α1,4-N-GlcNacを合成する酵素であるα4GnTのmRNAの測定がCEAなど他の腫瘍マーカーと組み合わせ、膵臓がんのスクリーニング検査に利用できる可能性を見出した。すでに国内の診断薬企業と共同研究を始めているという。これらの成果は8月5日に長野県松本市で開催された日本遺伝子診療学会で発表された。

 α1,4-N-GlcNacが胃の腺粘液から分泌される。一方、ピロリ菌は胃の表層粘液に存在するが、α1,4-N-GlcNacがある腺粘液には存在しない。中山氏らは、遺伝子組み換え技術を用いて生産したα1,4-N-GlcNacがピロリ菌の増殖や運動能を抑制することを確認した。

 さらに、α1,4-N-GlcNacがピロリ菌の細胞壁にあるコレステリル-α-D-グルコピラノシド(CGL)の合成を阻害している可能性を見出した。α1,4-N-GlcNacとCGLは構造的に類似しており、コレステロールからCGLを合成する酵素を阻害して効果を発揮するという。

 中山氏らは、現在α4GnTのノックアウトマウスとトランスジェニックマウスを作製して、in vivoにおける効果を調べている。安価な製造法が開発できれば、新しいピロリ菌治療薬になる可能性があると中山氏は話している。

 一方、中山氏らは、膵臓がん患者55人、慢性膵炎患者10人、健常人70人を対象に、末梢血の有核成分から定量RT−PCR法でα4GnTのmRNAを測定した。その結果、膵臓がん患者の76.4%、膵炎患者の40.0%、健常人の17.1%で検出され、発現量は膵炎患者、健常人に比べて膵臓がん患者で有意に高いことを見出した。また、腫瘍マーカーのCEAやCA19-9で検出されない臨床病期は早期の膵臓がん患者でもα4GnTが検出できることを確認した。(横山勇生)

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