2005.07.29

私のがん体験 「乳がんと宣告されて」

 病気の体験をただ「辛く、悲しいもの」と考えるのではなく、貴重な体験として人生にプラスに生かしていけるようにしたい−−。そんな願いをもとに、患者さんに交流の場を提供しているNPO法人「楽患ねっと」から、人気コラム「私のがん体験」を紹介します。

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『夢を追いかける』  泉あい

 私は泉あい。ジャーナリストになりたいという夢へ向かってバクシン中の38歳1カ月です。山口県出身、東京都在住。趣味は競走馬鑑賞。昼間は、派遣スタッフとして働き、夜は、病気のことや大好きな馬のことを書いて、ホームページを更新する毎日です。

 乳がんの宣告を受けたのは、3年前の2001年でした。実は、その年は、結婚生活が破綻するという私にとって転機の年でした。主人との諍いに耐えられなくなり、家を飛び出したのが4月。5月にはマンションを借り、6月にパソコンを購入し、インターネットをはじめました。マンションもパソコンも実家の母に頼って手にしたものです。私の両親は、私が小学生の時に離婚したので、母は女手ひとつで私を音大まで出してくれました。そんな母に申し訳なくて、早く自立して恩返しをしようと夢を見つけた矢先の9月に乳がんを宣告されたのです。

 しこりを見つけたのは、シャワーを浴びている時でした。胸が大きな私は、普段から乳がんを警戒していたので、時折触診していました。シャワーの時に鏡に映してみたり、ボディシャンプーをつけてすべりやすくして触ってみます。指がひっかっかったその時の何とも言えない不安感ったらありませんでした。得体の知れない圧迫感で胸がもやもやして、一日中しこりの部分を触っていたこともあります。

 診察を受けて、エコーとマンモグラフィの結果から医師は、
「90%がんです。」
と私に言いました。入院と手術の日程を決めた上で組織を採られ、数日間結果が出るまで待ちました。あと10%の可能性に賭けて・・・。

 検査結果が出ると、医師は、
「乳がんです。」
と、とてもとても事務的に言いました。その瞬間、自分の唇がぷるぷると震えるのがわかり、泣いてしまわないように、ぐっと唇を噛み締めます。医師は、20ミリ以下なのでとても初期のがんであるとか、温存治療のこととかを話してくださったと思うのですが、全く記憶に残っていません。私は、早くここから出たい。早くひとりになりたいと、涙をこらえるしかなかったです。

 病院を出て、駅までの道、先ず派遣元と実家の母へ電話を入れました。ふたりとも、
「何も心配はしないでいいから、あなたは自分の体のことを考えなさい。」
そう言ってくれました。仕事への責任と、お金の心配から開放された私は、病気に集中できるようになりました。本当にありがたかったです。

「自分の体のことを考えなさい。」

 ふたりとも同じことを言いました。そう言われても、たった今自分は乳がんであると宣告されたんだという現実を受け入れられないでいました。

つづきはこちらへ

(まとめ:三和護、医療局編集委員)


■ 関連トピックス ■
◆2005.7.29 NPO法人楽患ねっと、患者ニーズを病院運営に反映させる調査事業を展開へ

◆2005.1.7 NPO法人楽患ねっと、「患者の目から見た医療を知る」をテーマにシンポジウム

◆2004.6.18 楽患ねっと】 「いのちの授業」で伝えたいもの
「患者も大変だけど先生(医師)も大変だネ」


◆2004.5.6 楽患な人々】内田スミス あゆみさん(女性、30代) 
「私を支えてくれたのは、いろいろな人の闘病記でした」


◆2004.3.5 話題】 患者さんに交流の場を提供する「楽患ねっと」
患者さんが自ら語る「いのちの授業」を新たに展開

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