2005.07.28

<高齢者に関する論説>高齢者の歩行事情(3)

 「長寿社会」の新しいネットワーク作りを考える「方円の器」を主催する江上尚志氏の「高齢化に関する論説」から、「高齢者の歩行事情(3)」を紹介します。(三和護、医療局編集委員)

■■□ 高齢化に関する論説
■■□ 高齢者の歩行事情(3)     江上尚志氏

 高齢者にとって住みやすい環境とは、決して家の中だけで暮らすことを意味するわけではなく自由に移動する権利がある。歩きにくい道路、乗りにくいバスや電車、入りにくい公共建物、そうしたものを一つずつ排除して再構築することが真のバリアフリーなのではないだろうか。前回までにこう書いたところで小俣龍氏からメールが届いた。“江上さんのエッセイを読んでいて、札幌の道路の問題を思い出しました。今回は、お袋を連れて車椅子で何度も散歩をしてきました。”

 “大変なのが段差と車椅子の補助輪です。先ず、病院から出る時の段差の大きさには困り果てました。(中略)全く障害者対応が出来ていません。道路に至っては段差をなくすように削ってはいますが、本当にフラットに近くないと車椅子は大変です。一度でも、自分で、車椅子を押して見ると、どういう段差が良いのか分かるはずです。頭だけの設計の問題があるように感じます。”介護する側の現場からの手厳しいコメントで、自分で車椅子を押した体験があるかないかで大きな差が出てくることが分かる。

 “凝った作りの車椅子でしたが、補助輪がちょっとした段差でも引っかかるのです。現場主義、現物主義だったはずのメーカーにも問題が生じているようです。”と続けている。車椅子そのものは本人の能力や症状にも関連するので、一概にメーカーばかりを責める訳にも行かない。しかし、最近では軽度の人に無理やり車椅子を奨めているという福祉用具業界の問題意識を問う事案があった。つまり、「車椅子に乗って移動することと歩くこと」とを別のものと考えており原点に立ち返って考える時期が来たようだ。

 年を取れば誰でもユッタリすると思われがちだが、実際にはセッカチで粗忽な面が出てくる方が多い。急ぐから転倒するケースもある。バスに乗ろうと走って転ぶ。怪我をするだけでなく打ち所が悪いと最悪の事態が待っている。バスの発車に幸いにして間に合っても車内で転倒することもある。最近は運転士が注意するのは道路ばかりでなく、年輩者が着席したことを室内のミラーで確認することである。「先ず止まれ!」と運転士の横に書かれた標語は伊達じゃないようだ。

*続きは「方円の器」でどうぞ。
http://www11.ocn.ne.jp/~uten/index.html

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