2005.07.27

【編集委員の視点】 医師に問われる「説明力」

 ふだん病気知らずの人にとって、病院や診療所に行くというのは一大イベント。「頭が痛い」「咳が止まらない」など体の不調を何とかして治してもらいたいと、決死の思いで出かけるのだが、特に大病院では、待ち時間が長い割には、検査、診察、会計、薬局など診療に直結する部分は、まるで流れ作業のように進むのが常だ。

 初対面の医師は挨拶もそこそこにテキパキと問診し、さっさと診断をつける。近ごろはインフォームドコンセントという言葉も一般的になっているから、患者にとって分かりやすい説明を心がけているという医師は多いだろう。しかし、患者にとって、話の中身はふだん耳慣れない医学用語のオンパレード。帰宅してから「先生、私の病気は何だって言ってたっけ?」「今日もらったこの薬にはどんな副作用があるんだっけ?」と、自分がまるで分かっていなかったことに気付く…。

 患者が医師にまず求めるのは「分かりやすい説明」だ。自分の体に何が起こっているか、自分の病気に対してどんな治療が行われるのか、それらを正確に知りたいと思うのは、患者にとって当然のことだ。

 ところが医師の側は、そんな患者の要求に十分に応えているとは言えない。日本製薬工業協会が行ったアンケート調査でも、「病気の情報」に関して「患者に情報を十分に提供している」と答えた医師は70.1%(「非常にそう思う」と「かなりそう思う」の合計)に上ったのに対し、「医師から情報を十分に提供されている」と答えた患者は36.6%にすぎなかった。医師と「治療法の選択肢の情報」についてはさらに差が顕著で、「患者に情報を十分に提供している」と答えた医師が62.5%だったのに対して、患者は4分の1にも満たない23.1%だった。

 つまり、医師は情報を伝えているつもりでも、患者は伝えられていない、説明されていない、と感じている。この認識の差は大きい。

 日頃、患者への説明に自信を持っている医師であっても、自らの「説明力」が本物かどうか、改めて振り返る必要がある。逆に、十分に説明を受けたと患者が感じることができれば、医療に対する信頼は高まるはずだ。(米)

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