2005.07.25

【エイズを見直す】 ARV療法を必要としているのは全世界で650万人、普及率は15%に過ぎず

 7月に開催された「第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議」では、「3by5」の進捗状況も報告された。3by5とは、世界保健機関(WHO)と国連エイズ計画(UNAIDS)が掲げた目標で、低・中所得国のHIV感染者/エイズ患者300万人に対して2005年末までに抗レトロウイルス療法(ARV療法)を提供するというものだった。しかし、その実現には程遠い現実がある。

 下の表をご覧いただきたい。2005年6月末現在でまとめられたARV療法の普及率である。

 ARV療法を必要としているのは全世界で650万人と見込まれるが、残念ながら、ARV療法を受けている人はそのうちの15%、97万人に過ぎない。2005年6月末までに160万人という3by5の中間目標には、大きく立ち遅れてしまっているのだ。

 確かに、地域別でみると、ラテンアメリカとカリブ海沿岸諸国のように普及率が62%に達しているところもある。しかし、最もエイズ問題が深刻なサハラ砂漠以南のアフリカで11%、次に深刻な地域に挙がっている東アジア、南アジア、東南アジアでも14%に達したばかりなのだ。



 手元に、ARV療法を受けられないでいる人々の数が多い20カ国のリストがある。こちらもWHOとUNAIDSが2005年6月現在でまとめたものだ。

 2005年にARV療法を必要としている0〜49歳の人々の推定総数と、2005年6月現在治療を受けている人々の推定数との差を未充足ニーズ(人数)として表しているが、この未充足ニーズがもっとも高いのは、南アフリカで86万6000人だった。

 2位はインドで73万5000人となっている。これに、ナイジェリア(59万8000人)、ジンバブエ(30万8000人)、タンザニア(30万7000人)、エチオピア(26万1000人)、ケニア(23万3000人)、モザンビーク(20万4000人)、コンゴ(20万3000人)、ザンビア(15万3000人)が続いている。

 20カ国のうち16カ国までがアフリカの国々であり、この地域での治療普及が焦眉の急であることは論を待たない。

 アジアに目を転じると、インドのほか、中国が6万5000人で16位、タイが6万人で18位に名を連ねている。

 WHOとUNAIDSの関係者は、2005年6月末までに160万人という3by5の中間目標値に届かなかったことから、年内に300万人という目標達成は難しいだろうと素直に認めている。ただ、希望は捨てていない。上記のような充足ニーズの高い国々に集中的に治療を普及させることで、何とか目標に近づけたい意向だ。

 第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議の前日、小泉純一郎首相は都内のシンポジウムで、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」(世界基金)に対し、今後数年間で5億ドル(約550億円)を拠出すると表明した。

 この日本政府の方針が3by5の実現にどれだけ寄与するのか、注意深く見守っていきたい。(三和護、医療局編集委員)

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