2005.07.25

【骨代謝学会速報】 骨代謝障害と血管障害をつなぐ鍵は炎症−会長講演

 「慢性腎不全や関節リウマチなどで見られる骨量減少などの骨代謝障害や、血管石灰化といった血管障害は、炎症反応を介したメカニズムによるものだ。こうした考え方は、骨粗鬆症などエイジングに関わる疾患やメタボリックシンドロームにおける血管病変を解明する手がかりにもなるだろう」。

 第23回日本骨代謝学会の学会長で、大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学教授の西沢良記氏は、7月22日に行われた会長講演「骨代謝と血管障害」の中でこう話した。

 骨代謝障害と血管障害の関連性は、以前はエイジングなどによって骨粗鬆症が発症し、骨から溶け出したカルシウムが血管壁へ移動することで血管石灰化や動脈硬化が起こるという考えで説明されていた。しかし近年、骨粗鬆症に関係する因子が血管障害に働き、また逆に血管障害に関わる因子が骨粗鬆症にも関与するなど、両疾患は互いに交差する因子が存在すると考えられるようになってきている。

 その一例として西沢氏は関節リウマチを取り上げ、関節リウマチ患者で見られる頸動脈血管壁の肥厚は、血圧などとは関係しない独立した血管障害の危険因子であり、血管障害の進展には炎症と骨代謝障害が関係すると述べた。

 そして関節リウマチや慢性腎不全などの疾患では、炎症や高サイトカイン血症を介して、骨代謝障害と血管障害が個々に起こること、さらにそこにはOPGやMGP、その他の骨関連蛋白や因子、またサイトカインなどの因子が関わっているだろうと説明した。

 しかし基礎研究において、血管石灰化の抑制因子とされるオステオプロテグリン(OPG)やマトリクスグラプロテイン(MGP)の場合、重度の冠動脈疾患と血管石灰化が見られる透析患者において、OPGは高いがMGPは低いなど、基礎研究における結果と臨床結果とでは不整合なこともあり、今後の検討が必要であると話した。(八倉巻尚子、医療ライター)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 診療所の運動器リハ、意外だった査定の理由は? あのレセプトが削られたわけ FBシェア数:73
  2. 辛い食事で下痢するのは機能性腸疾患の証!? 田中由佳里の「ハラワタの診かた」 FBシェア数:28
  3. 結婚や恋愛にパワーと時間はなかなか使えない Cadetto Special●女性医師の婚活事情 FBシェア数:6
  4. 意外と世間から誤解されている「救急」 木川英の「救急クリニック24時」 FBシェア数:88
  5. 「結婚は?」と聞かれるのは苦手 Cadetto Special●女性医師の婚活事情 FBシェア数:12
  6. 関節リウマチの原因は腸内細菌の乱れ Unmet Medical Needs 2017 秋 FBシェア数:20
  7. 11時間も待たされて、処方は痛み止めだけ? マイルバガナム恵美の「日本とカナダの薬局見聞録」 FBシェア数:10
  8. 電解質の良書 医学書ソムリエ FBシェア数:40
  9. こんないい薬があったなんて…! 新井翔の「I love 在宅」 FBシェア数:26
  10. 健常者の肺はどのように映るのか? 今さら聞けない画像診断のキホン FBシェア数:11