2005.07.08

最終決着ついたニチイ学館騒動、同業他社も他山の石に

 介護業界大手のニチイ学館は7月5日、東京証券取引所に改善報告書を提出した。上場廃止基準に該当するかどうかを判断するため、5月23日に同社株式が監理ポストに割り当てられてからの騒動に、決着がついたことになる。

 監理ポストに割り当てられたのは、ニチイ学館が経理上のミスで利益を過大計上したことがきっかけだった。3億4700万円の中間純利益を7億2000万円と倍以上に計上した誤りの重大性とともに、昨年11月22日の中間決算の発表から今年5月23日の訂正発表まで、半年もかかったことが問題視された。

 こと情報開示に関しては、同じ介護大手でも、グッドウイルグループとニチイ学館とに取り組みの差があったと言わざるを得ない。数年前、ある調査会社に、両社の情報開示の姿勢などに関しインタビューされた経験がある。同僚の記者と検討してグッドウイルに軍配を上げたが、現時点ではこの判断は正しかったことになるだろう。

 もちろん決算書類に間違いがあってはならない。しかし、社内で二重三重にチェックし、さらに専門家である公認会計士が監査を行っても、しょせんは人間が行うことだ。ミスをゼロにすることはできない。この点では、くどいくらいにマスコミで警鐘が鳴らされても、医療事故の発生が後を絶たないのと似ている。

 ということは、誤りを犯さない以上に、ミスが発覚した後の対応がかぎになる。直ちに訂正し、公表するかどうか――。ここにこそ、企業の意識の差が現れる。消費者や投資家はその姿勢を見ている。

 ニチイ学館の改善報告書によると、5月13日に経理担当者がミスの疑いを抱きながら、訂正の公表は決算発表と同じ23日だった。期末の決算処理のシーズンでもあった上、財務省へ提出する訂正報告書を優先し、投資家へ早期に開示する必要があるという意識に欠けていたという。同社は、「5月13日に発見した時点で、内容確認の上、一刻も早く開示しなければいけなかった」と反省している。

 医療・介護関係の企業の中には、上場して日が浅い会社も少なくない。情報開示の重要性を十分認識しているかどうか、省みるべき企業もあるのではないか。ニチイ学館をめぐる今回の騒動を教訓として、市場に信頼されるヘルスケア業界になるために努力したい。(井上俊明、医療局編集委員)

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